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コツコツと、二人の勇者の足音だけが城内に響く。人はもちろん、魔物さえいない場内はひどく不気味に感じた。

「……また、襲ってきたりするのかな」

 思い出したように、エイトがポツリと呟く。どうだろうな、とアレルは投げるように言葉をかけたがその声は少し震えていた。指先も震えて、心臓の音が大きくなってくる。

 ピタッ、と突然エイトの足が止まった。それを見てアレルも思わず足を止める。――もちろん、二人の目の前には誰もいない。しかし漆黒に塗られた大きな扉があった。

「こんな扉、前にはなかったはず……」

 アレルは小さく言葉を漏らし、震える手で扉に触れる。――刹那、突然扉が開きエイトが吸い込まれるように扉の中へ入っていった。
 突然のことに、エイトはもちろん、アレルも声を出すことすら不可能だった。しかし気づいたときにはもう遅い。扉は閉まり、城内に不気味な音が響き渡る。

「……エイト?」

 消えた勇者の名を呟くが、当然本人には聞こえるはずがない。ポツンと取り残されたアレルは扉を何度も開こうとするが、それは叶わなかった。

 ――小さく舌打ちをしたアレルに、二人の人影が近づいて来た。すぐに後ろを振り向き剣を構える。そこにいたのは、2つの見慣れた顔だった。



 ――ここはどこだろうか。
 意識がもうろうとするなか、勇者エイトはゆっくりと身を起こす。寝ていたつもりなんて全くない。しかし、どうも体が思うように動かなかった。

「やぁ、元気だったかい?」

 突然目の前に現れた――アルスが睨むようにエイトを見上げる。もちろん、とエイトが答える頃には二人とも両手に剣を握り締めていた。

「世界なんか救わなくていい。君は分かってないみたいだから、僕が思い知らせてあげるよ」

 頬を緩めて微笑むアルス。その笑顔とは裏腹に、アルスはエイトに酷い嫌悪感を抱いていた。

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夏目 織(プロフ) - 神無さん» わーーっありがとうございます~!! 次も楽しめるような内容にしていきたいです…!!応援嬉しいです!コメントありがとうございました(*´ω`*) (2017年6月18日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
神無 - めっちゃ面白いです!つぎが楽しみです!逃げ場がなくなった5人はこれからどうなるのか…次も頑張ってください!突然失礼しました! (2017年6月18日 19時) (レス) id: ece3dfc8e2 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - 兎人さん» それ私も思った……() 皆どうなるんだろう……リュカはあんなこと言っちゃったし当分闇堕ちかな~~ ありがとう!次も頑張ります(`・ω・´) (2017年6月17日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
兎人(プロフ) - リュカさんラスボス的な雰囲気を醸し出していると思いました(語彙力)。わー……! もうなんかみんなどうなるのかハラハラする……! 闇堕ちから元に戻るのかどうか楽しみ! 次も頑張ってね! (2017年6月17日 22時) (レス) id: 1a2d7ae52f (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - シーナ@もこたん大好きさん» 楽しく読めたようでよかった…!!ありがとうございます~!語彙力なんて逆に欲しいくらいですけど(笑)この先全然考えてませんが楽しめるような内容にしていきたいです…!! (2017年5月21日 22時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夏目 織 | 作成日時:2017年2月19日 12時

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