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「ーーったく、ここどこだよ」
歩き疲れたアレルが、その場にドサッと座り込む。エイトが地図を確認するが、まだまだ目的地にはたどり着かないようだ。
辺り一面闇に覆われ、今が昼なのか夜なのかも分からない。二人は荷物を置き、呪文で炎を出し少しの間休憩をとることにした。
「もう少し歩けばたどり着くはずなんだけど……」
エイトがそう言い、地図が炎で照らされるような位置に移動する。アレルと顔を見合わせ地図を確認するが、確かに今までの道からするともう少しで着きそうだ。
「……仕方ない、今日はここまでにするか」
周辺に魔物はいないが、暗闇の中を長い間移動してきたのでさすがの勇者も疲れたのだろう。アレルとエイトは横になり、ゆっくりと目を閉じた。
*
次の日。
アレルとエイトが目を覚ますと、確かにそこはまだ闇の世界なのだが心なしか辺りが少し明るいように感じた。
「よっしゃ、回復したところだし行くか!」
炎を消し、二人は立ち上がる。延びをし方向を確認すると、再び歩き出した。目指すは大魔王ゾーマの城。アレルは1度通った道ではあるが、再びあの恐怖に怯えていた。
「――ここだ」
暫く歩くと、目的のゾーマ城が目の前にそびえ立っていた。
周りよりも不穏な空気が立ち込めて、エイトは思わず生唾を飲み込む。音を立て吹く風が、魔物の叫び声のように不気味に感じた。
「準備はいいか」
「――もちろん」
アレルの問いに、エイトは小さく答える。
古びた重い扉を二人でゆっくりと開ける。扉は軋み、不気味な音を立ててようやく開いた。
「「――!!」」
二人が部屋に入ると、扉は容赦なく閉まる。もちろんその事にも驚いたのだが、二人はそんなことは気にしていない。二人にとって大事なことは、今、目の前の現状であった。
「……お前ら、何してるんだよ」
アレルが小さく口を開く。冷や汗を垂らしながら、一歩後ろへ下がった。
「ごきげんよう勇者様」
二人の前に立ちはだかる一人の青年が紫色のマントをなびかせながら声を出した。彼含めて、二人の前にいる三人は二人にとって見慣れた顔だった。
「元気だったかい? 僕は元気さ。だって、こんな世界から少しでも離れることができたんだからね」
リュカはまるで別人のように、口を開く。黒く染まった瞳は輝きを失い、心も黒く染まったようだった。
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夏目 織(プロフ) - 神無さん» わーーっありがとうございます~!! 次も楽しめるような内容にしていきたいです…!!応援嬉しいです!コメントありがとうございました(*´ω`*) (2017年6月18日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
神無 - めっちゃ面白いです!つぎが楽しみです!逃げ場がなくなった5人はこれからどうなるのか…次も頑張ってください!突然失礼しました! (2017年6月18日 19時) (レス) id: ece3dfc8e2 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - 兎人さん» それ私も思った……() 皆どうなるんだろう……リュカはあんなこと言っちゃったし当分闇堕ちかな~~ ありがとう!次も頑張ります(`・ω・´) (2017年6月17日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
兎人(プロフ) - リュカさんラスボス的な雰囲気を醸し出していると思いました(語彙力)。わー……! もうなんかみんなどうなるのかハラハラする……! 闇堕ちから元に戻るのかどうか楽しみ! 次も頑張ってね! (2017年6月17日 22時) (レス) id: 1a2d7ae52f (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - シーナ@もこたん大好きさん» 楽しく読めたようでよかった…!!ありがとうございます~!語彙力なんて逆に欲しいくらいですけど(笑)この先全然考えてませんが楽しめるような内容にしていきたいです…!! (2017年5月21日 22時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 織 | 作成日時:2017年2月19日 12時