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「良いぜ。何があっても信じ続けてる、そう言うお前の考えは嫌いじゃない」
そう言って、アレンはロトの剣をアレルの手元に返した。さっきは悪かった、と小さく謝罪を添えて。
「他の二人はどうする?」
再び、今度はアレフとエイトだけに問いかける。
俺はーーとアレフが口を開こうとしたその瞬間、地面が大きく揺れ出した。
突然の出来事に思わずアレルたちは体勢を崩す。床にある武具が音を立てながら転がっていく。石の装飾が壊れ、城が少しずつ崩壊するように感じた。
「エイト!」
アレルは仲間の名前を呼び叫んだ。壁に寄りかかりながら、エイトに近づいていく。瞳は赤く染まったり、黒く染まったりを繰り返していた。アレルの声が聞こえているのかはわからない。
「……お前、何してんだよ」
「……僕が何をしたって関係無い。このまま世界も壊れてしまえば良いんだ」
その瞬間、パンッと乾いた音が響き渡った。
「……そんなに世界のこと気にするなんて、やっぱりまだ救う気はあるんだろ?」
エイトのことを睨みながらアレルは言った。
エイトはアレルによって赤くさせられた頬を手で擦りながら、小さく口を開く。瞳は鮮やかな赤色に戻っていた。
「あんだけ世界を愛していたお前に世界を滅ぼすことなんてできない。世界を救うにはお前の力が必要なんだ」
「……僕の……力……?」
だから戻ってこい。世界を救いに行こう。
そう言うかのように、アレルはエイトと目をあわせる。希望に満ちた瞳にはもう悲しみは宿っていない。
「……分かった。あのときは……ごめん。僕もどうかしていた」
「良いって。アレフは? あとはお前だけだ」
再びエイトが仲間になり――今度はアレフに声をかけた。
「俺も、世界を救うよ。また光を取り戻そう」
アレフはそう言い足下に転がる剣を拾う。鞘に収めると、アレルを見て静かに微笑んだ。
アレルの合図で一行は城の奥へと進んで行く。――そしてついに、最深部へと辿り着いた。そこには既に、六人の勇者たちが待ち構えていた。
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夏目 織(プロフ) - 神無さん» わーーっありがとうございます~!! 次も楽しめるような内容にしていきたいです…!!応援嬉しいです!コメントありがとうございました(*´ω`*) (2017年6月18日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
神無 - めっちゃ面白いです!つぎが楽しみです!逃げ場がなくなった5人はこれからどうなるのか…次も頑張ってください!突然失礼しました! (2017年6月18日 19時) (レス) id: ece3dfc8e2 (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - 兎人さん» それ私も思った……() 皆どうなるんだろう……リュカはあんなこと言っちゃったし当分闇堕ちかな~~ ありがとう!次も頑張ります(`・ω・´) (2017年6月17日 23時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
兎人(プロフ) - リュカさんラスボス的な雰囲気を醸し出していると思いました(語彙力)。わー……! もうなんかみんなどうなるのかハラハラする……! 闇堕ちから元に戻るのかどうか楽しみ! 次も頑張ってね! (2017年6月17日 22時) (レス) id: 1a2d7ae52f (このIDを非表示/違反報告)
夏目 織(プロフ) - シーナ@もこたん大好きさん» 楽しく読めたようでよかった…!!ありがとうございます~!語彙力なんて逆に欲しいくらいですけど(笑)この先全然考えてませんが楽しめるような内容にしていきたいです…!! (2017年5月21日 22時) (レス) id: e4a43027c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏目 織 | 作成日時:2017年2月19日 12時