思い出の中のキクラゲ4

まつ毛長いなぁ　_kento side ページ7

「.......あのさ、」


目をまん丸にして驚く君の顔を見て、あぁ本当に届いていなかったんだと悟る。



どんだけ鈍感なのよ、アナタ。



もうちょい気付いても良いんじゃない？



と若干怒りを込めながら寄せた手の力を強めた。



大胆？いやいやこれくらいしなきゃ気付いてくれないでしょ、俺(たち)のお姫様は。




呆れながらもここまでしてる自分に少し驚き、思わず笑みがこぼれた。





俺、全然余裕ねぇじゃん。笑





改めて彼女の顔を見た。





俺と亮の思い出のフクロウをモチーフにしたエプロンとTシャツに身を包み、無造作ながらも彼女らしいヘアアレンジが施されてる。



耳は前にピアスが怖いからと控えめのドライフラワーをあしらったイヤリングがかけられていて。




そして俺より低い身長、薄いメイクにも関わらず発色の良い口紅に大きな目をした君が俺を見ている。



んー、離したくないな。







"自分の魅力に気づいて欲しい。"



初めはその感情だった。



夏祭りの時、彼女の子供に対する態度で胸を掴まれたのも事実。亮からデレデレのAちゃん情報を垂れ流されて興味を持っていたしね。彼女の事を知るにつれ愛おしく感じるようになった。




だけどね。




俺がここまで君にこだわっているのは。




いいや、みんながここまで君に注目して応援し、想いを寄せているのはね、





「Aちゃんに自信を持ってもらいたいから。」






そう言った俺を君は





「ん？賢人さんどうされました？笑



やだなぁ、もう

暑いからのぼせちゃいました？」






そう言っていつもおどけて笑うんだ。





キミが思ってる1000倍素敵なのに。






「もー知ーらね。



いつか気付きなよ？自分でちゃんとね。」





そう小さく呟き、彼女の後ろに立ち尽くす複数の男どもに"バーカ"と口パクで合図した。

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