Undulation【長谷川慎】

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そして迎えた出発の日。


余所行きのノースリーブワンピースを着て、鏡の前で確認。まとめておいた荷物を持ち、整理した部屋を見渡して、一呼吸置いてドアを開ける




慎「おはよ」

「おはよう、三人は？」

慎「先下行ってる」

「早いなぁ…どうかした？」

慎「いや…」





丁度同じタイミングで廊下へ出てきた慎と階段を降りていると、なかなか目が合わなくて


たまに手の甲を口元に当てて、あぁーと小さく声を漏らしているものだから、思わず聞いてしまう





「どうしたの？」

慎「…その格好、さ」

「…うん」





いつも着ないような服なんか着てきたから変だったかも…

お出かけするからって少し気合い入り過ぎたかな

いや、でもこういう時しか着る機会ないもん…


と、押し寄せた後悔の念を押し返そうと一人で頑張っていると




慎「…なんか、雰囲気違くて、良いね」

「へ？」

慎「かわい…」

「…ほんと？」

慎「ん、良いじゃん」




そっぽを向きながら、小さな声で褒めてくれて

胸がぎゅっと締め付けられる感覚

実家に帰るのも緊張なのに、慎と三泊四日するなんて耐えられるのかな…

そこら辺全然考えてなかったや




壱「おはよー」

樹「あ、おはよう」

翔吾「おは…え、めっちゃかわええ」

「おはようございます！」



玄関で靴を履いている途中の三人に合流すると、笑顔でおはようの挨拶を交わす

一人暮らしをしてた何ヶ月かは、朝におはよう、なんて言うこともなかったから、これだけでも結構嬉しいもの



樹「なんか、今日可愛い」

壱「ワンピース似合うねんな」

翔吾「いつも慎の服とか、Ｔシャツ着とったからかな？ギャップ萌えってやつや」

「な、なんか恥ずかしいんですけど…」

慎「…でも俺の服着てるのが一番似合う」

樹「…独占欲、笑」



玄関先でヒソヒソと話していると、一階にある一番奥の戸が開いて、眠そうな臣さんが歩いて来る



臣「おはよ〜」

「「おはようございます！」」

臣「気をつけて行っておいで」

壱「ありがとうございます、臣さん」

臣「子供を送り出す親の気分笑

あ、A」



手招きされて近付くと、耳元に顔を寄せて、誰にも聞こえない小さな声で呟いた



臣「気持ち全部伝えてきな

こっちで待ってるから」



顔を見上げると、優しく微笑む臣さんが居て

私の後ろには、同じように優しく微笑んで待ってる四人が居て


私は一人じゃない、そう思わせてくれる人達




「行ってきます」


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