Undulation【長谷川慎】

47 ページ47

.

.

.
「ちょっといいですか？」



16人もメンバーが居ると、どうしても騒がしくて、夕食の時は陣さんの一言がないと、いただきますも揃って言えないくらいの毎日


少し静かになるのが、今のこの夕食後のタイミングな訳で


それぞれ自由に過ごしているから、広間でテレビを見ている四人に声をかけた




壱「どしたん？」

「メール、返ってきたお母さんから」

慎「...どうだった？」

「いつでも待ってます、って、一言だけ」

樹「でも、良かったねちゃんと返ってきて」

「そうだね、返ってこないかと思った」

壱「さすがにそれはないやろ」

慎「.....大丈夫？」




昨日の夜にすぐに返ってきた返信を眺めていると、心配そうに慎が声をかけてきてくれて




慎「無理しなくていいからね」

「ううん、大丈夫だよ」

壱「俺らもついてるし、な？」

翔吾「あ！そういえば昨日臣さんが新幹線のチケットくれてん！！」

壱「行く前皆でお礼言いに行かな」

慎「そうですね、ここまで良くしてくれる人いないです」

「一体何やってる人なの？臣さん」

壱「あれ？言わんかったっけ？」

翔吾「知らんの？あの人社長やで！」

「えっ！？！」




道理で毎日忙しそうだと思った...

高そうな物身に付けてるし、なんならこの宿借りるのだって社長だから出来てた事なのね...

すごい人が海の家経営してるもんだ...





翔吾「開いた口が塞がらんってこの事やな！笑」




翔吾さんは大きな口を開けてガハガハ笑っている




「翔吾さんは元から塞がってないですよね」

翔吾「そんな事言う子に育てた覚えはないで？
ええの？ちゅーすんで？悪い子には」

慎「駄目です」

翔吾「も〜早いねんて！笑」

樹「翔吾さんがチケット持つんですか？」

壱「無くしそうやけど」

翔吾「大丈夫やって！」

「じゃあ、お願いします」





お母さんからの返信と、臣さんが取ってくれた新幹線のチケットのおかげで、いつでも行ける状況


そして明後日の朝、京都へと出発する事になった



三泊四日。



たったそれだけなのに、緊張している自分がいる

ただ実家に帰るだけ、それだけなのに




「あ、LINE...ふふっ、何これ笑」




泊数分の荷物をまとめていると、届いたLINE

そこには、京都観光のパンフレットを握り締めながら口角をあげて眠っている翔吾さんの写真と





『大丈夫、俺が居る。おやすみ』



「...慎らしい笑」



思わず緩くなる頬を抑えながら、パッキングを済ませて眠りについた

.

48→←46

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す