Undulation【長谷川慎】

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臣さんは、片方の立てた膝の上に肘を置いて、頬杖をつきながら問いかけた




「はい、一度帰ろうと思ってます。
...誰か、伝えてくれたんですか？」

臣「うん。観光しに行くんでしょ？笑」

「え？あー...笑」

臣「ふっ笑 ほんとに嘘つけないよねー笑」

「な、嘘じゃないですよ」

臣「伝えてくれた奴もそんな感じだったけど？」





一言発する度にニヤニヤして、挙句の果てにはグーにした手で口を抑えて笑い出す






「観光ですもん...嘘ついてないです」

臣「わかってるよ、ちゃんと身体休めておいで

この頃働きっぱなしだったもんね」

「ありがとうございます。五人一気に抜けちゃって、お店の方は大丈夫ですか？」






まだまだ海水浴を楽しむお客さんは沢山居る時期

毎日皆で回してたお店を五人一気に抜けるとなると、人手が足りないんじゃないかな...？





臣「店の事は何にも気にしないでいいよ

ちゃんと考えてるから安心して？」

「すみません」

臣「ん。いつも頑張ってくれてありがとな」




そう言うと臣さんは、立ち上がって私の頭を撫でて部屋を出て行った

...ここの人達によく撫でられる気がするのは気のせいじゃないだろうな




バンッ！！


「わっ！！何！！
ちょっと...ノックして下さいよ翔吾さん」

翔吾「臣さん今そこで全員分の新幹線のチケットくれたんやけど何事なん！？」

「え、そうなんですか！？」



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臣side


慎「京都に行ってきてもいいですか？」

臣「ん、いいけど...何しに行くの？」

慎「えっとー...観光です」

臣「誰と？」

慎「壱馬さんと、翔吾さんと、
樹さんと...Aです」

臣「ふーん？」




一週間くらい前、話がありますって話されたのは、京都観光の休み申請

若干目が泳いでるから何か隠してるんだろうけど...





臣「いいよ、行っておいで」

慎「ありがとうございます！」

臣「...ほんとに観光だけ？」

慎「いや...えっと」

臣「間接的でいいから、言ってみ？」




少し困らせたか？なんて思っていると、ここは真っ直ぐに俺を見て口を開く




慎「もっと笑顔になって欲しい

帰る場所を、増やしてやりたい」

臣「...慎」

慎「って、感じですかね...」

臣「言ってから照れんの？」

慎「っ...。失礼しますっ」



可愛い奴...。

好きな子の為になりふり構わず動ける男。



臣「チケットでも買ってやるか」



そこからすぐに新幹線を手配したのは
言うまでもない。

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