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あの日から数日経ち、今では平穏な日々が続いている
あの時掴まれた腕の感触はまだ少し残っているけど、付けられた首筋の“アレ”は、まだうっすらと残っている
夕食後、歯を磨きに洗面所へ行って鏡を見ると、消えかけてはいるもののしっかりと存在を主張していて
鏡の前で上からそっとなぞってみると、次第に胸はざわつき始めた
「…もう〜…」
毎日これを繰り返しては、慎が甘い顔をして近付いてくるあの瞬間を思い出してしまう
壱「…甘ったるい顔して何しとんねん」
「わっ!なんだ壱馬か…甘ったるいって何やねん!」
壱「ふ笑 えせ関西人笑」
「昔大阪住んでたもん」
壱「ちっちゃい頃な」
歯ブラシに歯磨き粉をつけながら鏡越しに目を合わせてそう言う壱馬
「ほんと、ちっちゃい頃からよく連絡してくれたよね」
壱「ほぉやっは?(そうやった?)」
私も同じように隣で歯ブラシをくわえて、磨きながら考える
思い返してみれば、父の転勤で小学校入学前に大阪から九州へ引っ越したり、東北へ行ったりと、点々としていたから友達が出来づらかった
でも、壱馬だけは変わらずずっと手紙を送ってくれてて、携帯電話を持った時に初めて電話をかけたのも壱馬だったなぁ…
東京の大学に行くと決まった時も、夢を追いかけて東京へ先に出ていた壱馬に直ぐに報告して…
何やかんやで一番お世話になってるな、壱馬には
「かふまぁ」
壱「ん?」
「ひふもはいはとう」
壱「ん、口開けて」
過去を思い返しているうちにいつの間にか歯磨きが終わっていた壱馬に、コップの水を口に含まされる
壱「ぐちゅぐちゅぱー」
「ぷはっ…自分で出来るってば」
壱「で?何て?」
「いつもありがとうって」
壱「お前〜何やねん今更」
「そうやって子供扱いする所以外は感謝するよ」
頭をわしゃわしゃ撫でられるのは本当に小さい頃から変わらなくて
でも、それが何だかんだ落ち着くから、嫌な顔しつつも感謝してますよ、お兄さん
翔吾「あー居た〜!二人とも早く来て!」
「翔吾さん、どうしたんですか?」
翔吾「ふふ〜笑 内緒!おいで!」
壱「翔吾の内緒は怖いで…」
翔吾「そんな事ないやろ!笑」
翔吾さんに急かされながら手を引かれて、玄関の戸を開けて向かっているのは海への道で
「こんな時間に海ですか?」
翔吾「いいから!」
暗い夜でも分かるニヤニヤ顔の翔吾さんに付いて海が見えてくると…
「わぁ…!花火だ!!!」
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蘭(プロフ) - noahさん» noahさん、ありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!これからも楽しみにしていてくださいね^ ^ (2018年9月10日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
noah(プロフ) - 更新たのしみにいています!いつも胸きゅんをありがとうごさいます!! (2018年9月9日 23時) (レス) id: 45dd6423d7 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - nagiさん» nagiさん、ありがとうございます!有り難すぎるお言葉を頂けて、私は幸せです泣 素敵な慎を堪能して頂けるように、続編も頑張りますね!楽しみにしていて下さい! (2018年9月9日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ゆうなさん» ゆうなさん、ありがとうございます!きゅんきゅんして頂けて慎も嬉しそうです!笑笑 毎日チェックして貰えてるなんて…嬉しすぎます泣 これからも楽しみにしていて下さいね! (2018年9月9日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
nagi(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてます!慎くんにもキュンキュンしながら読ませてもらってます!お話書くのめちゃくちゃお上手で…見習いたいです。 (2018年9月9日 20時) (レス) id: 7ff8abb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2018年8月8日 20時