24(慎side) ページ24
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慎side
腕の中のAを見ると、大きな瞳を潤ませて俺を見上げた
そして、目が合ったかと思えばすぐに逸らされてしまう
慎「A」
「ん?」
慎「こっち見て」
「……やだ」
抱いていた腕を離して両肩に手を置いて顔を見ても、何故かこちらを見ようとしない
慎「ねぇ…」
顔を覗き込むと、唇を噛んでぐっと堪えていているA。そこでようやく謎が解けて、両手で頬を挟み込んで、ゆっくりとこちらを向かせる
慎「A……泣いていいんだよ」
「っ…」
まだAは一度も泣いていなかった。亮に襲われたその瞬間も、この部屋に来た時も、そして今でさえも。ずっと耐えて、俺の名前を呼んだ
慎「怖かったろ…遅くなってごめん」
そう言うと、大きな涙が零れ落ちて、静かに泣いた。その小さな身体を引き寄せると、遠慮がちに腰に手を回してくる。
その後暫く、アイツの影を消すように、泣き止むまで、Aの事を抱き締めていた。
「慎…」
慎「…ん?」
「私が寝るまで、側に居てくれる?」
慎「…当たり前」
「ふふっ」
暗い部屋で一人で眠りにつくなんて、あんなことがあってからじゃ絶対にさせたくないし、出来る限り側に居てやりたい
布団に入るAの横から、頭を撫でてやると、擽ったそうに小さく笑って目を閉じる
「私ね、すっごく怖かった」
慎「…うん」
「このまま、どうなっちゃうんだろうって思った」
慎「…うん」
「でもね、慎が助けに来てくれるって信じてた」
慎「…」
目を閉じながら話していたAは、泣き疲れたのかそのまますぐに眠ってしまった
化粧をしていないからかいつもより少しだけ幼くて、まだ薄く涙の跡が残っている
このあどけない寝顔を、屈託のない笑顔を守りたい
慎「好きだよ…A」
改めて再認識するなんて思ってもいなかった
こんなにも彼女に惹かれて、こんな感情初めてで、正直戸惑う
滑らかな頬を撫でると、また小さく笑ったような気がして
甘い香りに惹きつけられるように、額に口付けて部屋を出た
壱「…A、大丈夫か?」
慎「はい、今寝たところです」
部屋を出ると、階段に座る壱馬さんの姿があった
壱「あいつ今、臣さんの部屋にいるから
お前も話したいことあるやろうし
…手は出したらあかんで」
慎「はい、わかってます」
全てを終わらせるために、臣さんの部屋へと向かった
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蘭(プロフ) - noahさん» noahさん、ありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです!これからも楽しみにしていてくださいね^ ^ (2018年9月10日 1時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
noah(プロフ) - 更新たのしみにいています!いつも胸きゅんをありがとうごさいます!! (2018年9月9日 23時) (レス) id: 45dd6423d7 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - nagiさん» nagiさん、ありがとうございます!有り難すぎるお言葉を頂けて、私は幸せです泣 素敵な慎を堪能して頂けるように、続編も頑張りますね!楽しみにしていて下さい! (2018年9月9日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ゆうなさん» ゆうなさん、ありがとうございます!きゅんきゅんして頂けて慎も嬉しそうです!笑笑 毎日チェックして貰えてるなんて…嬉しすぎます泣 これからも楽しみにしていて下さいね! (2018年9月9日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
nagi(プロフ) - 毎日更新楽しみにしてます!慎くんにもキュンキュンしながら読ませてもらってます!お話書くのめちゃくちゃお上手で…見習いたいです。 (2018年9月9日 20時) (レス) id: 7ff8abb7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2018年8月8日 20時