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「...本当に?私が居て、お母さんは幸せ?」





抱き締められたままお母さんにそう問いかけると、ゆっくりと身体を離して、目を合わせられる






「お父さんが亡くなって、私だけ残って...」






お父さんとお母さんの幸せの中に

私はちゃんと存在してた?







「私、楽しませたくて毎日頑張ってたんだよ?
でも、お母さんはずっと、声が出ないままで...
.....もう、疲れちゃって.....」






ごめんねお母さん、こんな娘で...


今までの色んな思いが、身体中を駆け巡って、一旦止まった涙がまた溢れてきた







母「...お母さんね、
Aの事何にも分かってなかったわ...



毎日、Aが楽しそうに学校の事話してくれて、私はそれが凄く嬉しくて、いくらでも聞いていられた

声だって、ショックで出なくなってしまったけど、Aの話を毎日聞けるなら出なくてもいいかなって、甘えていたみたい、いつの間にか...



でも、負担ばかりかけてしまった...」








いつから、
本音を隠して生きてしまっていたのだろう







母「Aが思ってた事をさっき、ふすまの向こうで聞いた時、貴方が泣いているのを知った時、名前を呼びたいと強く感じたの」









...こんな風に、母の思いを感じる日が来るなんて









母「ずっと、辛い思いさせてごめんなさい...

A、貴方の事が大好きよ?





生まれてきてくれて、ありがとう」








「お母さんっ...」









そしてもう一度、強く抱き締められると、私は応えるように、しっかりとお母さんの背中に腕を回した






" 頑張んなくていいんだって "


" AはAのままでいいんだから "





「あ...」





ふと、慎に言われたあの言葉を思い出す

.......そっか





私は私のまま、思った事を素直に伝えてみろって

頑張らなくたって、思いは届くよって




きっと慎は、私にそう伝えたかったんだ






母「慎くん...て言ったっけ?さっきの子」


「うん...」


母「あの子、Aの心の中、分かるからって
だから、名前呼んであげられるから大丈夫だって、そう言ってくれたのよ」


「慎が?」


母「そう、真っ直ぐな目でそう言ったのよ
魔法をかけられたかと思った」







後ろを振り返ると、
もう既にそこに慎の姿は無かった








母「慎くん、不思議な子よね」







そう言ったお母さんの顔を見ると、
凄く優しい顔で笑っていた



慎は本当に、魔法使いなのかもしれない



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58(壱馬side)→←56(慎side)



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MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
- 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
- また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年9月10日 1時

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