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翔吾「うわー!美味そう!!」
叔母「ごめんね、ちゃちゃっとカレーだけど笑」
壱「とんでもないです!いただきます!」
食事で彩られたダイニングテーブルを囲んで、皆で一緒に夕食をとる
前にはお母さんと叔母さん、そして叔父さん
私の隣には慎、翔吾さん
そしてお誕生日席には壱馬、いっちゃんの並び
樹「わ、美味い…」
ポツリと呟いたいっちゃんを見て、お母さんはニコニコで嬉しそうに頷いた
叔父「ところでAの彼氏は誰なん?」
「「……」」
翔吾「はい。」
壱「おい笑」
「ふふ笑 誰とも付き合ってません笑」
樹「まだ、ね」
叔母「そうなの!?勿体ない〜、ねぇ春ちゃん」
叔母さんはお母さんの名前を呼んで同意を求めると、ちょっと困ったような顔で頷いた
…食事を囲んでいる時、いつもお母さんが少しでも楽しい気持ちになれるように、色んな話をしてあげてたあの頃を思い出す
辛い、どうしよう。でも、笑わなきゃって、何度も何度も心の中で思って。
慎「…」
そして夕食を食べ終わると、叔父さんや翔吾さんは楽しく話していて、その流れでリビングで寛ぎだした
「私、ちょっと部屋戻ってます」
楽しそうな輪を抜け出して背にし、階段を上がり、自室へと駆け込んだ
「…っ」
涙が流れて止まらない
自分でも何で泣いてるのか分からなくて
整理がつかないのに、瞳から溢れるものはとどまる事を知らないみたいで
トントン__
「え…誰?」
慎「俺だよ」
ふすまを軽く叩く音がして、慌てて涙を抑えると、慎の優しい声がした
慎「ここ、開けなくていいから、近く来て」
優しい声につられるように、ふすまの近くへと歩き、床へと座り込む
慎「泣いてるんでしょ」
「…泣いてないよ」
慎「嘘つかないの」
「…私、どうしよう」
慎「少しずつ、口に出してみ?」
「今?」
慎「ん、聞いてるから」
少しずつ、私の気持ち…
「お母さんの声、聞きたいのは今でも変わらない。この家を出る前までの、楽しませたいっていう気持ちも変わらないんだ」
慎「うん」
「でも、私っ…やっぱり辛いよ…私だけじゃ…お父さんが居ないと駄目なのかな…」
慎「そんな事は絶対にない。
でもさ、届いてるよ、Aの気持ち」
「…え?」
ふすまを開ける音に顔を上げると、
お母さんが私を抱き締めた
『A…』
懐かしいその声と一緒に。
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MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
★ - また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2018年9月10日 1時