検索窓
今日:3 hit、昨日:25 hit、合計:450,032 hit

55 ページ6

.

.

.
翔吾「うわー!美味そう!!」

叔母「ごめんね、ちゃちゃっとカレーだけど笑」

壱「とんでもないです!いただきます!」





食事で彩られたダイニングテーブルを囲んで、皆で一緒に夕食をとる

前にはお母さんと叔母さん、そして叔父さん

私の隣には慎、翔吾さん

そしてお誕生日席には壱馬、いっちゃんの並び





樹「わ、美味い…」





ポツリと呟いたいっちゃんを見て、お母さんはニコニコで嬉しそうに頷いた





叔父「ところでAの彼氏は誰なん?」

「「……」」

翔吾「はい。」

壱「おい笑」

「ふふ笑 誰とも付き合ってません笑」

樹「まだ、ね」

叔母「そうなの!?勿体ない〜、ねぇ春ちゃん」





叔母さんはお母さんの名前を呼んで同意を求めると、ちょっと困ったような顔で頷いた


…食事を囲んでいる時、いつもお母さんが少しでも楽しい気持ちになれるように、色んな話をしてあげてたあの頃を思い出す




辛い、どうしよう。でも、笑わなきゃって、何度も何度も心の中で思って。




慎「…」





そして夕食を食べ終わると、叔父さんや翔吾さんは楽しく話していて、その流れでリビングで寛ぎだした




「私、ちょっと部屋戻ってます」





楽しそうな輪を抜け出して背にし、階段を上がり、自室へと駆け込んだ





「…っ」





涙が流れて止まらない


自分でも何で泣いてるのか分からなくて


整理がつかないのに、瞳から溢れるものはとどまる事を知らないみたいで





トントン__





「え…誰?」

慎「俺だよ」





ふすまを軽く叩く音がして、慌てて涙を抑えると、慎の優しい声がした





慎「ここ、開けなくていいから、近く来て」





優しい声につられるように、ふすまの近くへと歩き、床へと座り込む





慎「泣いてるんでしょ」

「…泣いてないよ」

慎「嘘つかないの」

「…私、どうしよう」

慎「少しずつ、口に出してみ?」

「今?」

慎「ん、聞いてるから」





少しずつ、私の気持ち…





「お母さんの声、聞きたいのは今でも変わらない。この家を出る前までの、楽しませたいっていう気持ちも変わらないんだ」

慎「うん」

「でも、私っ…やっぱり辛いよ…私だけじゃ…お父さんが居ないと駄目なのかな…」

慎「そんな事は絶対にない。


でもさ、届いてるよ、Aの気持ち」

「…え?」




ふすまを開ける音に顔を上げると、
お母さんが私を抱き締めた









『A…』




懐かしいその声と一緒に。


.

56(慎side)→←54



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (458 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1248人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

MAO - とても素敵なお話で、一気に読めました! (2020年1月11日 22時) (レス) id: 7e55f29c35 (このIDを非表示/違反報告)
- 蘭さん» 楽しみでたまらないです!待ちきれません (2019年8月10日 16時) (レス) id: 772a3fabcd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ★さん» 物語が思い浮かんだら、再び慎君で書かせて頂こうと思っています!楽しみに待っていて下さったら嬉しいです(^^) (2019年7月19日 0時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
- また慎くんで書いてください! (2019年7月15日 21時) (レス) id: b78fe88ec4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - shyboyz17mさん» 最後まで読んで下さり、こちらこそありがとうございます!すごく嬉しいです泣 (2019年3月25日 23時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年9月10日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。