きっと怒りの所為だー夏目sideー ページ10
『申し訳ありません、申し訳ありません。』
先程から謝り倒しているのは、俺に憑いている者。アサギだ。
「もう謝らなくていいよ。アサギが悪いわけではないのだから。」
ずっと謝られているのも、なんだか悪いような気がしてしまうし…
「そうだね。悪いのは彼奴かなぁ……」
そう言いながら何処か黒いオーラを放ち、完璧な作り笑いをしているAが指さす方に、俺にアサギをいれたぐるぐる巻き野郎がいた。
彼女を落ち着かせようかとも思ったけれど、それはやっぱりやめよう。
「また面倒事に首を突っ込んだな。」
「あ、ニャンコ。」
いつの間にか先生も来ていたらしい。というか、面倒事は俺の所為かよ。
まあいい。それよりも、
「どうにかならないか?ニャンコ先生。」
「アサギの希望を叶えるしかないな。気持ちが消化されれば、体からはがれていくだろう。」
他の術はないか…
低級なら頭突きでって、ああ燕の時は確かにそれで出てきたな…
……現実逃避をしている場合ではないか。
「言い合ってたってしょうがないだろ。さっさと済ませば早く終わるぞ、人の子よ。」
「お前が言うな!だいたいお前……えっと、名前なんだ?」
「ふん、人間ごときに名乗る名はない。」
その言葉にいらつきを覚えた。もう勝手につけてやろうか?
どんな名が良いか考えていると、隣から地を這うような声が聞こえてきた。
「てめぇ、良いご身分だなぁ。」
あれ、隣にいたのAだよな…
「え、えっと……Aさん?」
「なに?貴志君。何でさん付け?あれ、前にもこんな事……」
良かった。いつものAだ。
また空気が冷やされないうちに、名前を考えてしまおう。
「名乗らないならお前は今から、メリーさん2号だ。」
「メリーさんね。ふふっ……」
『まぁ、ハイカラな名ですね。良かったですねメリーさん。』
「何で
「『ふふ、良いでしょう?楽しいじゃないですか。』」
……はっ!
今一瞬乗っ取られた。
「ふっ……」
固まっていた空気の中笑いが聞こえて隣を見ると、口を押さえてそっぽを向いているAがいた。
「A……」
ジトっと睨んでみると、顔を真っ赤にしたAがこちらを向いて、はくはくと口を動かした。
「ごめん、その……か、可愛くて…」
「えっ!?」
予想外の答えに固まっていると、ニャンコ先生の声がぶつかってきた。
「これの何処が、キモいだけだろう!?」
頬に感じる熱は、怒りの所為だと思う。
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89*(プロフ) - ぱららさん» ぱらら様 コメントありがとうございます。素敵だと言ってもらえて、とても嬉しく思います。更新速度が遅く、お待たせしてしまうのが心苦しくもありますが、年明けからは多少なり余裕が出来ますので、お待ち頂ければ幸いです。今後とも宜しくお願い致します。 (2020年12月21日 22時) (レス) id: 514fce46fd (このIDを非表示/違反報告)
ぱらら(プロフ) - とてもお上手な作品です!私は未熟者なのでとても素敵だなぁと思います!更新とか頑張って下さい!楽しみにしてます! (2020年12月19日 18時) (レス) id: 528bfd8f20 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - 日向葵さん» 日向葵様 お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます。来月辺りから更新頻度を上げられればと考えておりますので、これからもよろしくお願い致します。 (2019年7月6日 16時) (レス) id: a2eb60a991 (このIDを非表示/違反報告)
日向葵 - とても素敵な作品です!!続きが気になります!! (2019年6月30日 16時) (レス) id: ea495e3633 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - 望月凛さん» 望月凛様 色まで塗って頂けるとは……補足は特にありません。それくらい作者のイメージ通りです。素晴らしいイラストをありがとうございます。 (2019年2月1日 21時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:89* | 作成日時:2019年1月10日 23時