欲しがりであげられない ページ44
放課後は貴志君と共に藤原邸へと足を進める。本当は関わらない方が三篠の理想なのだろうけど、そんな事私には出来ない。それに手を出すなと言われた訳でもない。
私の1番は彼と妖の絆じゃない。彼の笑顔だ。妖との絆が彼の笑顔につながるとしても、彼が失われてしまえば元も子もない。
どうするのが正解か。私に一体何が出来るのか。私にある力で本当にどうにか出来るのだろうか？
「あ……ついに、玄関の前に…」
貴志君から溢れた言葉の通り、影は藤原邸の玄関前まで近付いていた。
暫し驚きに硬直していると、ふと声がした。
「
声がした方へ振り向くと、ヒノエが煙管をふかしている。
彼女が言うには、五日印をつけたのは大杉に封印されている強力な
長年かけて印を使って人を喰らい、あと1人で封印が解けるらしい。
「奴は待ちきれなかったらしいね。」
「つまり、あの影は…」
あの影はやはり貴志君を…
「お前、あの影に捕まったらその時点で食われるよ。」
喰おうとしている。
貴志君は青い顔をしていた。それをチラリと一瞥してヒノエはこうも告げた。
どうやら日が経つごとに、あの影は貴志君の生気を吸って速くなるらしい。ニャンコ先生は食ってやると言ったけど、印を持たないものは邪気にやられるだけで触れられもしないらしい。
「私なら、私ならどうにか出来ない？」
「……やめといた方がいいね。半端者の力ってのは結局妖の力さ。浄化の力といえど、負けてしまえば糧になる。」
半端者と呼ばれるのは初めての様な気がするけれど、気付かれているのは予想していた。力の事は話しているし、妖は私を見るとなんらかの反応をする。
ああそれより、やはり私では何も出来ないのか。
力が欲しいと願った。
頼って欲しいと願った。
笑って欲しいと願った。
欲しい欲しいと願うばかりで、私はそれを貰って何かを返せていただろうか？
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89*(プロフ) - ぱららさん» ぱらら様 コメントありがとうございます。素敵だと言ってもらえて、とても嬉しく思います。更新速度が遅く、お待たせしてしまうのが心苦しくもありますが、年明けからは多少なり余裕が出来ますので、お待ち頂ければ幸いです。今後とも宜しくお願い致します。 (2020年12月21日 22時) (
レス) id: 514fce46fd (このIDを非表示/違反報告)
ぱらら(プロフ) - とてもお上手な作品です！私は未熟者なのでとても素敵だなぁと思います！更新とか頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年12月19日 18時) (レス) id: 528bfd8f20 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - 日向葵さん» 日向葵様 お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます。来月辺りから更新頻度を上げられればと考えておりますので、これからもよろしくお願い致します。 (2019年7月6日 16時) (レス) id: a2eb60a991 (このIDを非表示/違反報告)
日向葵 - とても素敵な作品です!!続きが気になります!! (2019年6月30日 16時) (レス) id: ea495e3633 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - 望月凛さん» 望月凛様 色まで塗って頂けるとは……補足は特にありません。それくらい作者のイメージ通りです。素晴らしいイラストをありがとうございます。 (2019年2月1日 21時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：89* | 作成日時：2019年1月10日 23時
