君がそういう事言うから ページ42
翌朝、貴志君と一緒に学校まで行こうと思い、彼の家に向かうと門の外にあの黒い影がいた。
まさか、彼を追いかけて昨日見た場所から此処まで歩いて来たっていうのか。何もせず突っ立っていたのではなく、一晩かけてゆっくりと進んでいた。
消すべきだ。此奴は十中八九、五日印と関係を持った奴だろう。友人帳を狙うにしてはとろすぎる。こんなに
それに、知性も感じられない。
この先には貴志君は勿論、彼が大切にしたいと思っている藤原夫妻がいるのだ。優しい人達がいる。放ってはおけない。
黒い影に手を伸ばし、力を込める。
ふと頭の中を
その時、三篠はまた試そうとするだろうか？
試そうと、縁を切らずにいてくれるだろうか？
「A！」
躊躇していると、軽めの衝撃と声が私にぶつかった。衝撃の正体は貴志君だ。
伸ばしていた手を掴まれて、ゆるく引っ張られる。その行動に、優しさが透けて見えた。
「…危ない事、しないでくれ。」
眉が垂れ下がり、掴まれた手からは僅かな震えが伝わる。そんな態度をとられたら、何も出来ない。出来る筈がない。
「ごめんね。」
「いや、心配してくれたんだよな。ありがとう、A。それは本当に嬉しいんだ。」
柔らかな笑みを浮かべる彼。
きっと大丈夫だ。ふとそう思った。
なんの根拠もない。でも、彼は私が助けなければいけない程弱い人でもない。私が何もしなくとも、彼は大丈夫だろう。それでも、助けたいなんて思ってしまうのは…
「でもAが怪我したりするの、嫌なんだ。」
きっと彼が助けてくれるからだ。
すくいあげてくれるからだ。
「…学校に行こう。迎えに来てくれたんだろう？」
「じゃあこのまま、手でも繋いでいく？」
「へっ！？あっ、わ、悪い。」
掴んでいた腕をシュバッと効果音がなりそうな勢いで引く彼の姿に、思わず笑みが溢れる。
少し残念だが、頬を赤くする貴志君が見れたのだからいいかな、なんて…
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89*(プロフ) - ぱららさん» ぱらら様 コメントありがとうございます。素敵だと言ってもらえて、とても嬉しく思います。更新速度が遅く、お待たせしてしまうのが心苦しくもありますが、年明けからは多少なり余裕が出来ますので、お待ち頂ければ幸いです。今後とも宜しくお願い致します。 (2020年12月21日 22時) (
レス) id: 514fce46fd (このIDを非表示/違反報告)
ぱらら(プロフ) - とてもお上手な作品です！私は未熟者なのでとても素敵だなぁと思います！更新とか頑張って下さい！楽しみにしてます！ (2020年12月19日 18時) (レス) id: 528bfd8f20 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - 日向葵さん» 日向葵様 お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。コメントありがとうございます。来月辺りから更新頻度を上げられればと考えておりますので、これからもよろしくお願い致します。 (2019年7月6日 16時) (レス) id: a2eb60a991 (このIDを非表示/違反報告)
日向葵 - とても素敵な作品です!!続きが気になります!! (2019年6月30日 16時) (レス) id: ea495e3633 (このIDを非表示/違反報告)
89*(プロフ) - 望月凛さん» 望月凛様 色まで塗って頂けるとは……補足は特にありません。それくらい作者のイメージ通りです。素晴らしいイラストをありがとうございます。 (2019年2月1日 21時) (レス) id: fe7ba8f509 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：89* | 作成日時：2019年1月10日 23時
