君の笑顔が好きだった4【夏目友人帳】

作るところから始めよう ページ11

言ってしまった。
責めるようで、ばつの悪そうな顔に負けて言ってしまった。
しかもその後の照れたような、真っ赤な顔はずるい。

天使か？天使だ！

私の荒ぶる脳内には誰も気が付かず、話はどんどん進んでいく。
なにやらアサギは蒼琴弾きらしく、壬生神様とやらに仕えていたが、病で身が崩れ始め楽が奏でられなくなった。それから笑わなくなってしまったアサギのためを思って、メリーさんがもう一度弾かせてやりたいと、器を探していたところ貴志君が見つかりかってに憑依させた。

しかし、もう一度弾かせようにも楽器がないので作る事から始める。とこんな所だろう。

問題は此処からだ。
私達が今居るのは池だ。どうやら線引きと言う鯉に似た妖怪を捕まえるらしい。

「「何で魚？」」

「つべこべいうな！！」

２人そろって疑問を述べた私達に、声を荒げてそういう彼には何故だか怒る気にならなかった。
唯理不尽な怒りをぶつけられているというより、焦りが色濃く出ていた様な気がしたからだ。

きっとアサギの状態は良くないのだろう。チラリと横目で貴志君を見てみると、既に息が上がってしまっているようだ。気が付かないうちに、アサギに引っ張られているのだろう。

どんな関係なのかはわからないが、全力で手伝いたいと思った。

池の真ん中に立つ。聞こえてくる楽しそうな声に、思う事がないわけではないがまあ今は良いだろう。神経を研ぎ澄ませて、普通の鯉にはない妖力を探る。

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パシャンと水のはねる音と、はねる妖力。
地を蹴り、腕を伸ばす。

手の中でピチピチと暴れる線引きと思われる奴を掲げて、メリーさんの元に持って行く。

「捕まえた！！」

そう言って渡すと、確かに線引きだと言って目を見開き、私と線引きを交互に見だした。
まさかとは思うが、この流れは…

「おまえ、本当に人の子か？」

やっぱりそうか……
前ならその言葉に心を乱されていたかも知れない。けど今は、

「人間だよ。」

今は自信を持ってそう言える。

もう一つの材料→←きっと怒りの所為だー夏目sideー

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