変わりたい。2

＊ ページ33

「山本、もう一本。」


「まだやるんすか！」


「いいから、」


「夜久マジでお前やり過ぎ。山本帰っていいぞ。」


「すんません。」


さすがに付き合わせ過ぎた。


あの山本にまだやるのかって言われるくらいかよ。


「山本すまん。」


「大丈夫っす！俺帰ります。」


体は疲れてるけど、動いてないと


心が折れそうで、


辛い。


体育館の壁に寄りかかって座った俺の隣に


座った黒尾。


めっちゃ遅くまで残ってても


黒尾は待っててくれてる。


「夏山は？」


「紗江はバイトだよ。」


「そうか。」


最近会えてなかった上に


デート現場見ちまって、


会えなくて寂しいなんて思ってたのは俺だけだって


気づいて悲しかった。


特別だと思ってたのは俺だけかよ。


部活でも、家でも、教室でも


どこにいてもテンションが落ちまくっている俺を


みんなが心配してくれるけど、


まだ無理みたいだ。


失恋ってきついんだなー。


こんなんなるまでバレーでもしてないと


腐りそう。


というかこんなんなるくらいなら


高月のこと好きになりたくなかった。


「黒尾、俺のこと待ってなくていいから夏山のとこ行ってくれ。俺が体育館とか閉めるから。」


「別に待ってねーし。帰るぞ。」


黒尾が体育館の鍵を返しに行っている間に


部室で着替えて校門で黒尾を待った。


『夜久先輩、最近オーバーワークだって聞いたんですけど、無理しないでください。』


何で高月が知ってんだ。


彼氏いるくせに他の男の心配していいのか、


それとも俺が先輩だから気遣ってんのか。


どっちにしろなんかむかつく。


「じゃー帰るか。」


「おう。」


返信はしなくていいか。


今の状態で高月と話せる自信が無いし。


今は会うのも見かけるのも辛いから


もう関わらないようにしないと。


次の日から、


あんなに会いたいって思ってた高月を


見かけるようになった。


会いたくないって思うほど見かける回数が増えて


クラスの仲良い奴といるのか、


夏山とかと数人でいて、


その中には彼氏もいて、


その度に苦しくなった。


あいつが気づかないうちに毎回その場を離れた。


会いたくないとは思ってても


まだ好きで


それが嬉しいっていうのと


苦しいっていうのとごちゃごちゃだ

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