#18 ページ18
負けた試合の次の休日、部活は休みだった。きっと3年がどうするか考えるためのコーチの配慮だと思う。
「なに、来てんだか」
まだ辞めたくない。その気持ちを捨てるために体育館に来たなんて誰にも知られたくないな。なんか恥ずかしいし。
「…開いてない」
うーん。来ただけで帰るのもなんかなぁ。電車も使って来てるから微妙に損した気持ちになる。鍵借りてボール出しちゃおうか。
「A?」
「うわ、黒尾」
「うわは無いだろ。」
「部活?」
「おう」
そっか。男バレは3年残るんだ。そうだよね。
「おい、どうした!?」
「…え?」
いいなぁ、という気持ちなのかさっきまで辞めたくないと思っていた気持ちが出たのか、涙がぼろぼろ出てきた。嫌だ。人の前で泣きたくないのに。
「ごめん。私帰るから」
「おい、待て」
腕掴まないで、こっち見ないで、
「もう引退するの!!」
「は?」
「だって、今の2年生、1年生の方が強いし、しっかりしてるから部活も任せられる。だから辞めるの!」
「落ち着けって。」
わかんない、落ち着けない。ずっと涙が止まらない。1番泣きたくない相手なのに。
「大会、準決勝まで行ったんだってな。」
「でも負けた。」
「俺らなんてベスト8止まりだぞ?」
「男子の方がチーム数多いんだから、凄いじゃん…」
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作者名:なつなつき | 作成日時:2020年4月15日 0時