素直になりましょう【黒尾鉄朗】 (ページ17)

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#17 ページ17

「Aごめ…私が最後取れなかったからっ」

「ううん、違うよ。誰のせいでもない。」

接戦だった。3セット目のデュースまで持ち込んだ。けれど女王はやっぱり強くて、最後エースのスパイクを決められて終わった。

ボコボコだったらまだ笑えたかもしれない。あと少し、かなわないと思っていた相手を追い詰めたからこそ余計に悔しい。

みんな泣いていて、終わった事実がやっと追いついてきた。悔しい。凄く悔しい。全国行けると思ってたのに。

「みんな帰ろ。」

「A～」

「ほら、そんな泣いてるとブスだよ」

「…ブスじゃない、よ」

こんなにみんな泣いてて誰がしっかりするんだ。私が泣いてちゃ元気になる人がいなくなる。いつも笑顔で変顔がどこの部活よりも得意でバカみたいに元気なのが音駒の女バレなんだから。

もうこの体育館に選手として来ることは無い。小学校からやってきたバレーが終わるのは悲しいけど、このメンバーでここまで来れてよかった。