素直になりましょう【黒尾鉄朗】 (ページ11)

今日:15 hit、昨日:4 hit、合計:51,548 hit

#11 ページ11

「黒尾とA喧嘩した？」

「…してない」

教室の隣人がバレー部だと気まずいことこの上ない。いつもなら楽しい夜久の隣も、事情を知ってたら嫌だとか聞かれるのも嫌だとか、汚い感情ばかり出てくる。

「喧嘩してなくてもなんかあったろ」

「なんもない」

なんもないわけないし、あいつのせいで精神疲労がいつもの1億倍ある。悩み事は寝て忘れるタイプの私が1日で忘れられなかったのなんて初めてだ。

同じクラスっていう地獄で唯一の救いは私が窓側であいつが廊下側のこと。話しかけられたりしなければ顔合わせなくて済む。夜久のとこ来るようだったら他のとこ行けばいいし。

…まあ、その避難場所も無くなっちゃったんだけど。あれから美祐とは話してもいないし、LINEのやり取りもしていない。高校入ってからこんなこと初めてだ。

嬉しくない初めてが重なって完璧キャパオーバーしてた。告白なんて女子からしかされたことないのに。しかも相手が大好きな子の好きな人なんて。

「仲直りしにくかったら手伝ってやるから、元気出せよ」

「…出ない」