素直になりましょう【黒尾鉄朗】 (ページ1)

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「あっ、財布忘れた」

「行こうか？」

「大丈夫。先帰ってて。」

部活早く終わったのに、何やってるかな。
入学した時よりいくらかは近くなった自分の教室に入ると、後ろのロッカーにでかい男が1人。

「なにやってんの黒尾」

「忘れもんしたんだよ。お前は？」

「財布忘れた」

「一緒かよ」

窓際の自分の席に腰を下ろして、引き出しの中を覗き込んだ。

「なあ」

「うわっ！」

大きく跳ねた心臓。
何故か顔が熱くなるような変な感じ。
なにこれ、知らない。

「その反応は無いだろー」

「だ、だって顔上げたらいるとか知らないし。驚いただけだよ。」

「そうかよ」

顔が近くて心臓が跳ねるとか少女漫画かよ。
そんなこと私に起きるわけないし。
そう、驚いただけ。

私の反応を笑いながら、黒尾は私の席の前に座った。

「見つかったの？」

「ああ。そっちは？」

「私も見つけた。」

「じゃあそれで肉ま「奢らないからね」

「相変わらずはえーんだよ。」

「そっちが見え見えのこと言うからでしょ。」