ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

#赤葦京治 ページ49

「せんぱーい！！」


「Aどうしたの？」


「あっ、用があったとかじゃなくて先輩見つけたからつい」


なんも考えてなかった、と照れたように笑う彼女。


正直、真顔でいられてるのが奇跡なほど


この子は可愛すぎる。


男バレに入ってきてくれた彼女は


可愛くて、元気で、一生懸命で


いつも彼女から目が離せなかった。


危なかっしいとかドジするとかそれもあったけど


やっぱり1番は可愛すぎるから。


誰かに取られたくなくて、


俺の目の届くところにいて欲しくて告白した。


彼女も俺のこと好きだったのは意外だったけど


こうして付き合えてるから嬉しい。


最初に告白したはいいものの


先輩の余裕？を見せたくて


あまりがっついたりとかしてない。


彼女の笑顔を見る度、


腕の中に閉じ込めてキスして


あわよくばその先も…って考えるけど


死んでも表には出さない。


「京治先輩？」


「ああ、ごめん。なに？」


「いえ、ただぼーっとしてるなと思って。何かありましたか？」


「大丈夫だよ」


「良かったです！」


あー、可愛い。すげー可愛い。


もう天使と違わない。


「…抱きしめたい」


声に出てしまったことに気づいたのは


彼女が真っ赤になって固まっていたから。


唐突に何言ってんだ俺。


絶対困ってるだろ。


「ごめん、いきな「ど、どうぞ…！」


真っ赤な顔のまま腕を広げて


目をぎゅっと瞑った彼女。


破壊力が高すぎるその行動にしばらく眺めてたら


「ぁ、あの、まだ…ですか？」


緊張なのかぷるぷる震える彼女を見て


引き寄せて抱きしめた。


「緊張してる。心臓ばくばくしてるよ。」


「い、言わないでください〜！！」


「ふふ、可愛い」


「京治先輩はずるいんです！」


腰に回された手に力が籠って


彼女がもっとくっついてくる。


何が何だかよく分からないくらい幸せだ。


「A？」


「…なんですか？」


いつになったら収まるのか分からない顔を


しばしじっと見つめて、


そのままキスをした。


「……へっ」


「大丈夫？」


「ちょ、ちょっとタンマです」


「可愛い、もっかいしていい？」


「タンマって言いました…！！」

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