ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

#宮侑 ページ47

「優勝は宮率いる稲荷崎高校ー！！高校最後の春でやっともぎ取った勝利！！｣


涙で、視界がぼやける。


コートでチームメイトと抱き合う侑がよく見えない。


「ほらA彼氏のとこ行くで」


「うん、ちょっと待って…」


「泣きすぎやってほら行くでー！」


友達に手を引っ張られて、


コートから出てくる男バレを待ち伏せ。


ずっと応援し続けてきたから


優勝するなんて本当に嬉しい。


侑、今日もサービスエース決めて


トス回しもばっちりでめっちゃかっこよかったなぁ…


「ほらA！来た！」


「A！！」


走ってくる侑と目が会った瞬間、


自分が石にでもなったんじゃないかってくらい


動けなくなった。


正直に言うと、見惚れた。


ユニフォーム姿なんて何回も見てるはず、


試合だって何回も…「A？どしたん？」


「かっっこええ…」


「なんや、珍しいな」


「まともに見れん…なんなん侑」


「褒めてんのかお前」


頭撫でられて顔が爆発するほど熱い。


おかしいな、何回もやられてるはずなのに。


「もんちゃんど、どしよ」


「なんでうちのとこ来るん。」


「かっこよすぎて見れん…無理…えらいことや」


「侑が可哀想やさかい行ったげて、1人取り残されとるで」


押し返されて、顔をあげられないまま侑の方へ。


どうしよ、無理。


「なんでほないな避けるん！！」


「ひゃあっ！？」


浮いてる！？抱っこされてる！？なんで！？


「あっ、こら暴れんな！」


ぎゅって抱きしめられて、


もう何も出来なくなる。


ただただ恥ずかしくて侑の方に顔をうずめた。


「ほんまに可愛いなお前」


「もうなんも言わんといて恥ずかしい…」


「試合見とってくれたんやろ？」


「当たり前。」


「声とか、振り返った時いるだけでめっちゃ力になった。」


「うん」


「俺な絶対プロになって金メダル取る。」


「うん」


「そん時、Aに見とって欲しい」


真っ直ぐにうちを見て、


おっきな夢を口にする侑。


その夢をうちに見とって欲しいなんて。


「なんで泣くんや〜」


「だっ…ほんまにもう！」


「俺とずーっと一緒におってくれるか？」


「うん…！！」


やっと降ろされて、


いつものように抱きしめられる。


どうしよう、幸せすぎる…


「おいツム、俺らのこと忘れんなや」


「…へっ」


「サム邪魔すんなや。いいとこやろ。」


「…なっ、見られ…」


「別にいいやろ、見せつけとけばいいんや」

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