ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

#銀島結 ページ44

…いちゃいちゃしてみたいなぁ。


隣を歩く彼を見て思う。


純情、真面目、元気みたいな性格の結は


手繋ぐだけでも真っ赤っかになっとった。


これじゃあハグやらちゅーやらは


まだ出来んかなって思うとって。


やけど冬やさかい。人恋しなったりするし、


普通に寒いわけで。


めちゃくちゃくっつきたい。


毎日バレーを頑張ってる体はがっしりしとって


抱きしめられたら暖かそうやから、


…もはや私変態みたいかもしれん。


「今日オフやのにどこも行かんで良かったん？」


「オフなら休まなやろ。うち来てくれるだけありがたいわ。」


「そうか。」


お菓子とお茶、申し訳程度の勉強道具。


それらを広げてだらだら話す。


彼氏彼女らしいことそこまでしたい訳でもあらへんし


こないにも安心していられる結の隣が


めっちゃ好きやけど


やっぱし…そのね？


「結」


「ん？」


優しい声と目になんでか胸がつまる。


言いたいことあったのに満足しそうや。


「どしたん？」


「…抱きついてもええ？」


「おん、ええで」


腕を広げた結にそろそろ近づいたら、


引き寄せられて気づいたら腕の中。


わぁ…やっぱしがっしりしてるなぁ。


すりよって見上げたら、


さっきよりも優しい目をした結と目合うて、


流れるようにキスをした。


「…えっ！？今した！？」


「急にうるさいなぁ、なんやねん。」


「だって結、手繋いだときあないな顔赤かったさかいハグ…ましてやちゅーなんてせんと思うとった！！」


「人のことなんやと…」


「いちゃいちゃしたいやらうちだけなんかなとか、色々考えとったのに！！」


おっきなため息と共に腰に回されてる腕に


力がこめられた。


少し苦しいくらいで上を向いたら、


なんべんもキスをされて上手う力が入らん。


「あんな」


「俺だってずっと我慢してん。」


あの時あないに真っ赤やった顔は、


余裕そうな笑顔に変わって、


対してうちは首まで熱い。


「Aえらい真っ赤やん」


「み、見んといて！」


「可愛い」


「ほないな言わんといて…」


「めっちゃ好きや」

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