ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

#潜尚保 ページ43

勿体ないと彼氏を見て思う。


だって、上手いのに損をしてるから。


普通のバレー部に突っ込んでも


やる気なさそうな部位に入る彼が


情熱とやる気を大事にする監督に


相応の評価されるわけが無い。


無気力というよりかは表情が出にくいって


付き合ってから知ったけど


一緒にいる時もバレーしてる時も


変わらないテンションに慣れたつもりでいたけど


「冬って人恋しくないですか」


「急にどうしたの」


「先輩、ミカさんとデート行ってるんで…あ、すみません。振られてたの忘れてました。」


「振られてないし振ったの！！」


「すみません」


「思ってないだろお前…で？潜となんかあった？」


「強いて言えばなんもないですね」


「そういう事か。」


にやっと笑った先輩が潜を呼んだ。


遠くにいたからがこっちを向いた瞬間、


かなり至近距離で私の頭を撫でる大将先輩。


嫉妬させようとしてくれてるんだ、


そう気づいて、少しの期待を込めて彼を見たけど


「反応ナシか」


「やっぱりダメなんですかね」


「俺にしとけば？」


「それはお断りです」


片付けを再開して、部活終わり。


いつものように待ってくれてた彼にお礼を言って


隣に並ぶ。


東京だけどそんな都会に住んでる訳でもない私達の


帰り道はいつも真っ暗で、


それが彼をよくわからなくさせる原因でもある。


「A」


「なに？」


「今日キャプテンと何話してたの」


「えっと…ミカさんの話。私ミカさん好きじゃん？」


「ああ…」


「えっ！？何！？」


後ろから、大きな体に包まれた。


暖かくて、どきどきしてふわふわする感覚。


久しぶりだって思うと同時に、疑問が頭をもたげる。


「急だね？」


「俺だって人恋しい時ある」


「やっぱりさっきの嫉妬した？」


「…した」


「ごめんね」


「ん」


頭をぐりぐりしてくる彼の珍しさに笑ってしまう。


意外と甘えんぼうだったりするんだ。


「ねぇ尚保」


「あ、うん」


「好きだよ」


「…俺も」

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