ハグしてください〈ハイキュー短編集〉

岩泉一 ページ4

私の彼氏は照れ屋。というか頑固。


「くっつくくらい、いいじゃん！隣座らせてよ！｣


「勉強してんだからこことそこでいいだろ！」


「折角おうちデートなのに！！」


「勉強」


はじめたちの部活は月曜日オフなのに


なんで私の部活は金曜日なのか。


お互い部活に夢中で自主練したりするから


一緒に帰ったりとかもなかなかできない。


はじめたちは私の高校で全国有力候補だけど


私の部活はそんなことないから


私がちょっとは譲らないとなのかなって思ったこと


結構ある。はじめモテるし。


「好きなことより俺を優先させるな」


そう言ってくれてからは気にしてない


気にしてないけど…


「2人なのに…」


ちらっと見ると真剣に問題を解いてるその横顔が


とてつもなくかっこよくて


1人で顔が熱くなった。


こんな顔、他の子も見てるのかなぁ。


同じクラスだったら見れるよね。


勉強する気なくなっちゃった。


いちゃいちゃしたいわけじゃないのに、


ちょっとだけぎゅってして欲しいだけ…


「はぁ」


「えっなに？」


「声出てんだよ」


「なにが」


「いちゃいちゃしたいだのぎゅってして欲しいだの」


「えええええ！？」


顔が赤いような気がしなくもないはじめを


完全に赤くなっている顔で見つめた。


「ほら、来い」


広げられた腕に飛び込んだ。


あったかくて安心するはじめの腕の中。


「勉強終わるまでの我慢って思ってたのにこれじゃできねーじゃねえか」


「…我慢してたの？」


「久しぶりに好きな女と2人きりになれてんのに何とも思わない方がおかしいだろ」


恥ずかしいのと嬉しいので抱きつく力を強めた。


おんなじようにはじめも力を強くしてくれる。


「ちょっとだけって言ったからちゃんと勉強しますよ。」


「俺は全然足りねーんだけど。」


「へっ」


「やっぱ今日勉強ナシな。」


いつもくっつけない分のハグを


今日取り返す。

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