＊ ページ12
「いつんなったら分かるんだよ」
もはや恒例になった放課後、
誰もいなくなった私の教室で
勝己くんに聞かれる毎日。
「んーどうだろう」
嘘だよ。大好きだよ。
そう心の中では叫べるのに。
日が経つ事に好きになっていくのに。
どうしても、1歩のところで立ち止まる。
いなくなってしまったら
そんな不謹慎な考えちゃいけないことが怖くて。
今日も誤魔化すように笑う。
「やっぱ無理だわ」
「えっ」
なんの無理かって嫌いになったしか思いつかなくて
私が悪いのに涙がにじむ。
ほっぺたに伸ばされた手に意味がわからず、
勝己くんを見つめたままでいると、
キスをされた。
「お前、そんな好きって顔に出しといてまだ言わねーつもりかよ。バレバレなんだよクソが」
「…っえ？」
「いつんなったら言うのかって待ってたけど限界だった。何を悩んで言わねーのか俺もわかんねぇし、解決するもんもしねぇかもしれねーだろ。｣
「なん、でぜんぶ、しって…」
「泣くな」
流れたままの涙を拭って、
もう一度私にキスをした勝己くんは
その大きな身体で私を包み込んだ。
数回しか触れたことない安心する体温。
大好きな体温。
「…っ好き」
「あ？」
「勝己くんのことが好き｣
「あぁ！？」
「なんで驚いてんの」
「いや、言うと思わなかった」
慌てて私から離れて顔を隠す勝己くん。
耳が赤いのが見えてるよーだ。
「照れてる〜｣
「照れてねぇわクソが！！」
「いいんだよ照れたって」
「ァ！？」
「こわっ」
ドカッと私の隣の席に腰を下ろした勝己くんは
いつもの表情に戻ってた。
さすがはヒーロー復活が早い。
「で、なんで言わなかったんだ」
「好きって？」
「ああ。」
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作者名：なつなつき | 作成日時：2019年10月28日 15時
