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あの時の持田の顔が頭から離れねぇ。
何が起こったのかわかってないような、
漠然と怖がっているような。
怯えてる顔はあの日に見たから覚えてる。
俺がした事と、
あのクソがした事
全く変わんねぇ。
自分のことに必死ンなって、
クソデクと戦うまで、
オールマイトの話を聞くまで
全く気づけなかった。
俺が持田のことを好きだから
あんなことをしたってことにまで。
自分のことしか見てねぇのに、
自分のことすら気づけてなかった。
「俺は自分のことしか見えてねェ。だからオールマイトも、お前も…」
「もういいよ、言わなくて。もういい」
いつの間にか俺の隣に来ていた持田が
俺のことを抱え込むように抱きしめていた。
オールマイトを終わらせちまった絶望感とか
色んなものがぐちゃぐちゃになったから
持田を押し倒した。
そう言って謝るつもりだったのに。
それでも怖がられるんなら諦めようと思ったのに
どうしてこんなことするんだ。
「デクくんと喧嘩して、オールマイトと話して爆豪くんは整理というか落ち着いたんでしょ？」
「ああ」
「だったらいいよ。話したくないこと私に話さなくて｣
「悪い」
「あの日のことは忘れちゃおう。私たちの間にはなんもなかったってことにしよう。爆豪くんと気まずくなるの嫌だもん。｣
「それは嫌だ」
自分の口からこぼれた言葉に俺が驚いた。
俺よりも驚いて離れた持田の手首を掴んで言った。
「持田が好きだ」
「え？」
アホ面と同じ顔しやがって。
可愛いんだよコラ。
「だから、好きだっつってんだろ！！」
「えぇなんで急にキレるの！？」
「お前は好きなヤツいんのかよ」
「へ？いないよ」
「切島なんか」
「え！？違うよ！いないって言ったじゃん」
「じゃあ、ダメか？」
「ダメって言われても…」
困ったような顔をされて、手首を離した。
自分の手首と、俺を何回も見て、
言葉を探してるように見えた。
その姿に入試の日の俺を思い出した。
「爆豪くん、ごめん」
「ん？」
今までに見たことないほど、
苦しそうな顔をしていた。
さっきの俺と持田の立場が変わったみたいな。
「私に誰かを好きになる資格ないの。」
そう言い残して部屋を出た持田を
追いかけることは出来なかった
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作者名：なつなつき | 作成日時：2019年10月19日 21時
