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「Aの母さん今日休みなんだろ?家いなくて良かったのかよ」
「だって私がいたら出かけようとしてくれちゃうじゃん。」
「そうか」
先を言わなくても自然と分かってくれる。
それがすごく心地いい。
どきどきし過ぎたのは本当に一瞬だけで、
ちょっと話せばいつも通り。
ここが幼なじみの良いところでもあったりする。
「いつもありがとな」
「どういたしまして?」
「なんで?がついてるんだよ」
「急にどうしたんだろうなって思って」
「家のこととかもやってんのにマネもやってくれてるから。」
「でもそんなに大変じゃないんだよ?家事は慣れたし、バレーは大好き!」
マネは最初全くやりたくなかった。
けど、みんなのおかげでここまでやってこれたし
もしマネやってなかったら
こんなに高校生活楽しくなかったと思うから。
好きな人近くでみれるし。
「Aのそういう所に俺らはいつも助けられてるんだよ」
いつの間にか2人とも立ち止まってて、
はじめの真剣な目に何も言えなくなる。
顔が熱い。
…この雰囲気なに?
「俺は」
はじめが何か言いかけた時
物凄いエンジン音
「あぶねっ」
はじめに引き寄せられて
壁際に押し付けられた。
目の前が真っ暗で何があったとかよくわからない。
ただ、くっついてることだけはわかる。
自分の心臓の音がうるさい
「大丈夫か?どこも痛くねぇか?」
「え、あ、うん。平気」
「あんなスピード出しやがって。」
「トラック?」
「ああ」
はじめの答えに、さっきのエンジン音を思い出す。
ものすごい音、沢山の人の悲鳴。
痛くて動けない体。
何があったか分からなくて怖くて
助けて欲しくて
はじめってずっと呼んでいた。
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作者名:なつなつき | 作成日時:2018年9月17日 12時