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「あれ、起きるの早いね」
「Aには負ける」
「私今起きたよ」
「そうか。俺は走ってくるわ」
「行ってらっしゃい」
はじめを見送って、朝ごはん。
みんなを起こすのははじめが帰ってきてからで。
「…かっこいいって思っちゃうのは仕方ないよね」
卵をひたすら割りながらそう呟いた。
マネージャーだから
はじめだけ見てはいられない。
幼なじみだから
この関係を壊すわけにはいかない。
結局好きになっちゃいけない人なのに。
年が経つほど苦しくなるし
想いが溢れそうになる。
好きって言っちゃいそうになる。
「もう無理だ…」
涙が出そうになって思わずしゃがみ込んだ。
時間ならまだ平気。
お願いだから止まって。
こんな、ダメなマネージャーでごめん。
「A!?」
「どうしたの?体調でも悪いの!?」
「と、おる」
「わ、泣かないで…!」
「とおるのバカぁ…」
優しく背中を撫でてくれる手に、
涙が止まらなくなった。
普段泣かないのになんでよ。
「なんで!?」
「ごめ、んなマネージャーでっ」
「何があったの。また何か言われたの?」
徹の声が低く聞こえる。
怒らないで違うの。
Tシャツを掴んで首を振る。
お願いだから涙止まってよ。
「なにも、いわれてない」
「ならなんで泣いて」
「ううん、大丈夫」
「Aが大丈夫って言う時だいたい大丈夫じゃないでしょ」
「私がだめなマネなのが悪いから」
怒ったようにほっぺたを掴まれて、
そのまま引っ張られた。
「いひゃい」
「Aがいるなら俺らは頑張れるんだよ。A以外のマネージャーなんて考えられない。」
「徹…」
「これ以上の説明いる?まだ自分のことダメなマネージャーだと思う?」
「おも、わない」
「また泣いてー」
「これは、嬉し涙なの」
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作者名:なつなつき | 作成日時:2018年9月17日 12時