音のない世界で (ページ3)

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sk side

今日もいつもと同じように照を呼びに行く。

照『おはよう』

照は口で言いながら手話で話してくれる。

佐『おはよう』

俺も笑顔で返す。

完全に音が聞こえない訳では無いが、ほとんど聞こえない。

普段は補聴器を付けて生活している。

でもいずれ聞こえなくなるらしい。

嫁の声と照の声が聞こえなくなるのは辛い。

照にはそれを伝えているのでなるべく喋ってくれるし、手話もしてくれる。

ただ、補聴器がないと何も聞こえないので、付けている時のみだが。

照とくだらない話で笑いながら登校する。

学校につき、自分の席へ座る。

すると照は女子に呼び出されていた。

さすがモテ男。朝からモテモテだなぁ〜

そんなことを考えながら朝の準備をしていると、後ろから補聴器を外された。

後ろを振り向くと、カースト上位の奴が居た。

最近、こいつに良く悪戯をされる。

悪い顔をしながら、取り巻き達と喋っている。

『こいつ聞こえてないし何してもいいんじゃね？笑』

ばーか。口の動きでわかんだよ。

俺は席を立ち、補聴器を取り返そうとする。

だが、身長の小さい俺は、手を高く挙げられてしまうと中々届かない。

ダンスやアクロバットが好きだったからジャンプ力には自信がある。

思い切りジャンプすると、ギリギリ届いた。

素早く耳に付けて、言い返す。

佐｢も、ゃめて、ょ、！｣

精一杯声に出す。やっぱ昔より喋りにくいな。

｢っせーよ！お前邪魔なんだよ！！｣

その言葉を残し、アイツらは去っていった。

はぁ…朝から疲れる……

席に着いて、スマホのホーム画面を開く。

そして嫁を眺める。

癒されるなぁ…♡

眺めていると照が帰ってきた。

照は手話ができるので、基本俺の隣の席。

照｢まーた嫁見てる笑｣

佐｢だ、って、かわ、ぃぃ、んだ、もん！｣

照｢嫁ばっかり見てないで、俺と喋ろうぜ？手話でいいからさ｣

照優しいな…

俺はスマホを片付け、照の方に身体を向ける

またくだらない話をしていたら、気づいたらHRの時間。

丸山先生が入っていて｢みんな席につけよ〜｣と言う。

丸山先生(俺は丸ちゃんって呼んでるけど)は学年問わず人気で、ギャグが面白い。

ただたまに死ぬほど滑る。

丸ちゃんが話してるが、頭に入ってこない。

眠たいなぁと思っていると、丸ちゃんの話が終わった。

阿部ちゃんの｢起立！気をつけ！礼！｣という掛け声に合わせて挨拶をしてHRが終わった。