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ホストの俺まで好きだって言われたような、今までの俺も全部肯定されたような、何とも言えない気持ちになった。受け身すぎって言われたり、自分本位すぎって言われたり、そんなの沢山だ。慣れたって言ったらちょっと変だけどまあそんなもんよな、みたいな。
だから、Aくんが俺を否定したって多分悲しくはない。でも、悲しいとは別の感情がそこにはあって。名前がつくならさ、寂しいとかになんのかなって思った。まあそりゃそうかって納得の他に諦めみたいな何かが混ざって、形容しがたいけど。
「湊さんは寂しがりだからね」って言うAくんに何言ってんのなんて返したものの何だかんだその通りなのがムカつく。
「俺、寂しがりらしいぞ」
「知ってたけどなに、今更でしょ」
「ええ…そんなん言われたことないわ」
「みんな気付かなかっただけじゃないの、取り繕うのは上手いからねあんた」
「そうなんかなあ」
湊さん本当はずっと寂しかったんだよ、多分だけど。そう、Aくんは言う。それじゃあさ、みんなが気付かない俺の寂しさとか、そういうのに気付いてくれたのって結構凄いことなんじゃないの。なんでもないような顔して隣にいてくれるけど。
「なに考えてんの」
「俺のこと…よく見てんだな、みたいな」
「好きになったらそりゃ何でも目で追っちゃうでしょ」
「全然分からんかったが？」
「俺たち空回りすぎだからね、あれは流石に」
「顔に出にくいじゃんAくんはさあ……」
「そう？最近とか常にゆるゆるで困ってんだけど」
確かに最近は可愛い顔してんだ。俺のことめちゃくちゃ好きって顔。
「最近可愛いもんな」
「湊さんがそれ言うの」
「…俺も可愛い顔してる？」
「うん、俺のこと好きなんだなって顔してる」
「……それこそ今更やろがばーーーかしゃーすぞ」
「はは、出た出たしゃーすぞ。そんな顔で言われても怖くないからなあ」
照れ隠しだとか、そういうのバレてて俺は八方塞がりってやつよ。でも、それが嬉しくて、むずがゆくて、にやけちゃうんだよなあ。
「おれ、どんな湊さんも好きだからね」
ちゃんと好きって念押すみたいに。俺が不安な時もそうじゃない時も関係なくいつだって欲しい言葉をくれてさ。
ほんとに、どうしようもなく、
「…あいしてるよ」
Aくんがその一言に目を丸くしたのは一瞬で、すぐに顔がとけて、俺と同じ言葉をなぞった。
死ぬまでずっと愛してねとか言えんし言わんけど、思ってはいるよ。
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作者名：南湖 | 作成日時：2023年3月15日 20時
