名取先生と、2 (Daiki.A) (ページ2)

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名取さいど

知らなかった。

そんなつらいことがあったなんて、、、

いつもあんな笑顔で明るいのに、、、

ずっとずっとこんなこと一人で抱えこんでいたんだ、、、

坂下は、またゆっくり話はじめた。

貴「今日会ったのも久しぶりでした。、、、、久しぶりにみた父は、、、“あ、顔にシワの数増えたなあ”とか、、“ちょっと痩せたのかなあ”とか、、“なんか少し縮んだのかなあ”とか、、、、」

ポロッと坂下の瞳から静かに涙がこぼれた。

貴「私の知らない間に、結構ちゃんと年とってて、、、、でもあの、お酒とタバコでがさがさな声とか、、、、イヤーな笑い方とか、、、、無駄に大きくて安心するその手とか、、、、私が小さかったあの時から、なんにも変わらない。、、、世界でたった一人の、、、、私の父でした。」

坂下は笑った。

いつもみたいに、いつもよりも大きく笑った。

涙はあふれれていた。

それでも笑顔だった。

貴「肺がん、、、、ステージ4だって。、、、、そんなの知らないよ、、、、」

名「坂下、、、」

貴「もっと、、、もっと会いに行けば良かった。、、、もっと、、、もっとちゃんと話ておけば良かった。、、、最後の最後だけ、いい父親なんて、、、ずるいよ、、、、ずるすぎるよ、、、お父さん」

坂下は、泣き崩れていた。

そんな坂下を見ているのがつらくて、俺はそっと坂下の肩を抱き寄せた。

俺がいる。一人じゃないって、少しでもわかってもらえるように。

優しく、できるだけ優しく抱き寄せた。