名取先生と、 (Daiki.A) (ページ23)

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知念さいど

ICUで、今日僕が診た小学3年生の男の子、まさと君のカルテを整理するためにパソコンを開いた。

キーボードには、簡単に打つけれど残酷な文字。

ー植物状態？ー

目を覚ましてみないかぎり、まだわからないらしい。

こんな小さな男の子が、まだたった9歳の子が、植物状態かもしれないだなんて……

そんなとき、隣のベッドから、いつもよく聞いている明るい声が聞こえてきた。

貴「北村さん、こんにちは！北村さんの担当をつとめます。坂下です。
よろしくお願いします！((ニコ」

北「・・・」

貴「北村さん？」

北村さんとは、まさと君のおじいちゃん。
二人でいっしょに川で遊んでいたところ、流れがいきなり急になり溺れて、危険な状態で運ばれてきたが、運よく一命をとりとめた。

貴「どうしたんですか？」

北「孫は……、まさとは助かりますか？」

貴「あ……」

北「わしのせいだ……、わしが手を繋いでいたのに……。あの時、、、もう寒くなってきたから、家に帰ろうって言っていたら、、まさとは、、、」

貴「そんなこと……、、」

北村さんの目から、涙がこぼれた。

僕たちは、北村さんになにも言ってあげることができなかった。