５８話 ページ18
ーーーー…
｢にしてもアレだね、数学のテストがダメだったから、何かお礼考えないとね…。勝己今欲しいものとかないの？｣
｢…｣
｢…だから、なんで黙るのさ……｣
お互い夕食を食べ終えて、私が食器を洗っている時だった。
今日の勝己はどうにも大人しい上に口数が少ないらしく、私との会話が長続きしない。
おまけに…なんかこう…いつもみたいに殺気というか、覇気を感じないというか…いやもしかしたらただの気のせいかもしれないんだけどさ…何か考え込んでる気がするんだよねぇ。怒られないのはそれはそれでいいんだけど、これじゃまるで勝己じゃないみたいで、逆に落ち着かない。
洗い物を終えた私は、リビングのソファに座っている勝己の隣にボスンと腰を下ろした。
相変わらず、目が合わない。
｢おーい、勝己さん？｣
｢んだよカス。｣
｢私の名前はカスじゃなくてAなんですけど…｣
｢知っとるわボケが！！！｣
｢…いつも通りだね、良かった。｣
ほんの少しだけ煽ってみると、案の定罵声を浴びせてきた勝己。その威勢が良すぎる声に胸を撫で下ろしていると、勝己が険し〜い顔でコチラを見つめてきた。
な、なんだろう、私の顔になにかついてんのかな…？？
さっきまで散々合わなかった視線が突如コチラに向けられたもんだから、少し緊張する。合わせたままでいるのは私としてはちょっとしんどいからフッと逸らすと、逸らした直後に勝己にガッと顔を鷲掴みにされた。
｢な、なに！？｣
｢…｣
｢ね、ねぇ勝己…さっきから黙り込みすぎだってば、何考えてんの…？｣
｢知るか。｣
｢え、え〜？勝己のことなのにその返答は意味わかんない。｣
顔を鷲掴みにされているため、顔が動かせない。
視線を上や下へ動かしてみるけれど、その度に顔を動かされるため強制的に目を合わせられる。
何この拷問。なんで目を逸らしたらダメなの。緊張するし挙動不審になるからあんまり目を合わせたくないんだけど…？？しかも勝己は相変わらず顔が険しいし…言いたいことあるならいくらでも言えばいいのに。今まで散々いろんなこと言われてきたから余程のことじゃない限りは傷つかない自信あるし。
…なんて、そんなことを思っている時だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 876人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名取(プロフ) - コナさん» コナさんさえよければ覗きに行ってみてください、私なりの解釈になってしまうとは思うんですが、楽しんでもらえるように上鳴くんのお話更新頑張りますね……！！ (2018年12月1日 0時) (
レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - コナさん» コナさんありがとうございます、そしてとても長い2ヶ月間お待たせして本当にすみません、リクエストくださった上鳴電気くんの小説スタートしました。1日5話更新は難しいのですが今後はコツコツ更新させてもらいます。 (2018年12月1日 0時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
コナ(プロフ) - 名取さん完結おめでとうございます！とても素敵なラストでした。爆豪くんの解釈が一致していたので違和感なく読むことが出来ました。素敵な小説をありがとうございました。 (2018年10月4日 17時) (レス) id: e552838be7 (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - コナさん» コメントありがとうございます、恐縮です…私には勿体無いんじゃないかと思えるような言葉をくれて…ありがとうございます、とても嬉しいです。新作の準備と今作の更新、これからも頑張らせていただきますね…！ (2018年7月7日 10時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - 小豆さん» コメントありがとうございます、爆豪くんの作品は書いてて不安な点も幾つかあったので、そう言っていただけて安心しました。応援してくれてありがとうございます、励みになります。これからも更新頑張らせていただきますね…！ (2018年7月7日 10時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名取 | 作成日時：2018年6月25日 12時
