第32話 ページ33
｢…そうなんだ。｣
｢俺一人だったら、そんなこと思いつかなかったかもしれねぇ｣
｢私も思い浮かばなかったよ、教えてくれてありがとう、轟くん。｣
そっか、出久もまだ考えてくれてたんだ。
帰ったら、出久にもちゃんとお礼を言おう。
出久も、私に何度も声をかけてくれた。出久は真面目な子だから、きっと心のどこかでは私達のこと反対してるんじゃないかなって始めは思ってたけど、それ以前に、私達の気持ちを大事にしてくれた。
どうするべきかじゃなくて、どうしたいか。
考えるきっかけを、作ってくれてた。
その後も轟くんと話し合い、約束をした。
轟くんは他の先生と話す時と同じように、私に対しても敬語を使うこと。
私はまだ動揺を隠せそうに無いから、無理だと感じたら轟くんとは視線を合わせないようにすること。
今後はお互い名字、もしくはヒーロー名で呼ぶこと。
連絡先を交換する代わり、必要以上のことを学校で話さないこと。
他にも幾つか。
以前よりも堅苦しくなるとは思う、でも、このルールさえも、今の私にとっては嬉しかった。
｢A先生。｣
｢なに？｣
｢もう一回だけ書いてくれ。｣
｢さっき書いたのに？｣
｢ああ、あと一回だけでいい。｣
手のひらを差し出され、轟くんにお願いをされた。
明日からは元通りの生活。だからこれは今日だけ。
そう思い、私は轟くんの手を取って手のひらにまた指で文字を書いていく。
ひらがなで二文字。
簡単な文字のはずなのに、轟くんは"わからなかった"とか、"もう一回"だとか言って、結果的に立て続けに書かされた。
さっきは"あと一回"って言ってたはずなのに。
私は何度も何度も同じことを書かされて何とも言えない気持ちになったけれど、轟くんが嬉しそうに"俺もだ。"って言ってくれることが幸せで、言われた通りに手のひらに文字を書き続けた。
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名取(プロフ) - 漱さん» コメントありがとうございます、作品のことを好きだと言ってもらえてとても嬉しいです。今後も楽しんで貰えるようにコツコツ更新頑張ります！ (2018年6月7日 13時) (
レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - あーーーーすごく好きです！！！！更新頑張ってください！！ (2018年6月6日 23時) (レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - ミクさん» コメントとっても励みになります、本当にありがとうございます。楽しんでもらえるように、これからも更新頑張りますね…！ (2018年6月4日 2時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
ミク - 続きがとても気になります！更新頑張って下さい！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 38ae65cfeb (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - 凜花さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます、コメントとても励みになります、これからも更新コツコツ頑張ります…！ (2018年6月2日 1時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名取 | 作成日時：2018年6月1日 20時
