第29話 ページ30
ーーーー…
HR終了の予鈴が鳴り響いた。
つまり私がA組の教室へ行く時間。
幸い今日のうちに仕上げておきたい仕事も残りあと少しだから、轟くんとのお話が終わったあとに職員室に戻ってくれば、すぐに済ますことが出来る。
先生方に用事もないし、先生方から声をかけられることもなかった、大丈夫。
この間もこうやって放課後にA組の教室に行ったけれど、あの日とはまた別の意味で、今日は緊張していた。
｢…悪ィ先生、忙しいのに。｣
｢ううん、大丈夫…他のみんなは帰った？｣
｢あぁ、俺達しかいない。｣
｢そっか…｣
｢先生、少しの間だけでいいから、俺の話を聞いてくれ。｣
この間とはまた少し違う表情で、轟くんはそう言った。
やっぱり、呼び出したのは話すことがあるってことだよね…
当然何のことかどれだけ予想してもわかるはずはないし、考えても無駄だとわかっているから、色々考えるのはそこでやめた。
轟くんが話があるって言ってくれてるんだから、一旦ちゃんと聞かなきゃ。
そう思い轟くんの近くの席に腰を下ろした。
｢先生、俺は先生に、別に無理に答えようとしなくていいって言ったよな。｣
｢うん。｣
｢確かに俺は先生に告白したけど、でもそれは、今すぐ付き合いたいって言ったわけじゃない。｣
｢…うん？｣
｢もし先生が俺のことを何かしら想ってくれているんなら、俺がここを卒業する時、つまり三年後、俺と付き合ってくれればそれでいい。そういう考え方は出来ないか？｣
｢…｣
驚いて、少しの間何も言えなかった。
だって、そんな発想、浮かびもしなかったから。
轟くんに告白されたあの日からずっと、答えちゃダメだ、頷いちゃダメだ、そんなことしたらどんなことになるか…って、そればかり考えてたから。
轟くんが、そこまで先を見据えて考えてくれてるなんて、思ってもみなかった。
揺らいだらダメだとわかっているのに、揺らがずにいる方が遥かに難しい。
｢私も結構頑固な自覚あるけど、轟くんはそれより頑固だね…｣
｢…そうかもな、これだけは譲りたくねぇ。｣
｢それに、さっきのも凄い屁理屈だよ。｣
｢でも、あれなら問題ねぇだろ。｣
｢…うん、ありがとう…轟くん。ありがとう。｣
みっともない顔をしてしまう私に、轟くんは笑いかけてくれる。初対面の頃では見たこともなかったし、こんな顔をするだなんて想像も出来なかったその表情に、私達の関係はあの頃から変わったんだと実感した。
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名取(プロフ) - 漱さん» コメントありがとうございます、作品のことを好きだと言ってもらえてとても嬉しいです。今後も楽しんで貰えるようにコツコツ更新頑張ります！ (2018年6月7日 13時) (
レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
漱(プロフ) - あーーーーすごく好きです！！！！更新頑張ってください！！ (2018年6月6日 23時) (レス) id: a1b019c15f (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - ミクさん» コメントとっても励みになります、本当にありがとうございます。楽しんでもらえるように、これからも更新頑張りますね…！ (2018年6月4日 2時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
ミク - 続きがとても気になります！更新頑張って下さい！ (2018年6月3日 7時) (レス) id: 38ae65cfeb (このIDを非表示/違反報告)
名取(プロフ) - 凜花さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます、コメントとても励みになります、これからも更新コツコツ頑張ります…！ (2018年6月2日 1時) (レス) id: 100ff026ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名取 | 作成日時：2018年6月1日 20時
