白橙の海賊探偵。 (ページ9)

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💓恋心と美しさページ9

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海軍に入隊して、更に彼女を知る機会が増えた。

まだまだ階級の低い自分では、会えはしないが

それでも、一目見てみたい。そんな神に縋るような思いで

自分は自ら海賊探偵が海軍本部にやってくる日にちを調べあげ

担当の人に見張りの警備役を願い出た。

以外にすんなりとOKを貰え、心ん中で跳ね上がったのを今でも覚えている。

先輩からは「よく手ぇ出そうとしてボコボコにされる奴いるから気をつけろよ」と

はんば脅しをかけられた。同じことを考える奴は多いらしい。

書類やら鍛錬やらに耐えながら、彼女が来る日をいまかいまかと待ちわびた。

若い奴にはよくある時間だ。こういう時間は過ぎるのがすげぇ遅く感じる。

あれだ。四時間目の授業がくそ長く感じるのと同じだ。

そして、ようやく警備役を回せる時間になった。

何百人もいる警備役だ。俺が目を向けられる訳はないとはわかっている。

それでも良いから彼女を見てみたかった。

白くしなやかな髪。一瞬で惚れてしまうというオレンジ色の瞳。

思わず抱きしめたくなる甘く爽やかな匂いも。見てみたかった。

「海賊探偵のA様！！ご到着されました！！」

カツン、カツンと白いブーツの音が鳴る。

何人か男達が目を見開いていて、何人か倒れそうになっていた。

「………うわ……す…げぇ」

想像なんか消し飛ぶくらい、それは彫刻みたいだった。

黒白でしか分からなかった。あの海賊探偵が…今目の前にいる。

そう思うと、あまりの幸せに鳥肌が立ってしまった。

迫力のある合唱を聞いた時みたいな、そんな驚きと夢心地が同時にやってきた。

絹のようにやわらかな髪を、右手で耳にかけるその動作に

思わず魅入ってしまう。女神かと思ってしまったからだ。

あぁ、良かった。頑張ってあの海を出てきて。この瞬間があまりにも幸福で…

それで…

＿＿＿「そこの君、気ぜわしいと背後の海へ落ちてしまうよ。

しっかりし給え」

＿＿＿息を呑んだ。

「え………は…はい」

確かにあと少しふらつくと危なかった。

きちんと前に出て立つと、彼女は確認したように微笑んだ。

時間にして10秒程度。

それでも、これから

俺が彼女に惚れ込むのは

間違いがない。

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