偽りの鎖は砕ける ページ43
いつも一緒にいた、仲間が…親友が…幼馴染みが…
わたしの元から離れていく。
どんなに強く思っても、
どんなに手を引っ張っても、
その掴んだ手は、簡単に自分の手からすり抜けていく。
『………』
いちかやみんなが消えた後、わたしはただただ、その場で崩れ落ちていた。
仲間をなくした悔しさと、悲しさ。
そして「何か」に対する憎しみが、自分の心を締め付ける。
「…また自分を責める。いい加減、そんな風に思うのやめろよ?」
顔を上げると、しゃがんだ体制の天谷がじっとわたしを見ていた。
『…ほっといて、一人にさせてよ』
「やだね。Aのそんな姿、見てる方が嫌だ」
『じゃあ見なけりゃいいじゃん…わたしはこんな奴だよ。人前では平気な顔をしてるけど、本当は…そんな強い人間じゃないよ…』
頰に流れる涙が服にじわりと滲む。
大切なものがなくなって初めてわかった。
友達が、平和で退屈な日常が、どれだけ大切だったのか。
でももう遅い。
『わたしの隣には…もう誰もいなくなっちゃった』
そう言って無理に笑って誤魔化す。
「…いるだろ。ここに」
『…え…?…っ!?』
ぼそっと呟く声。
その瞬間、肩にまわった手はそのまま天谷の胸元へと吸い寄せられていった。
「辛かったら、俺がずっと隣にいる。ずっと手を握ってる。だから、もう無理をするのはやめろ」
そう言って強く抱きしめた。
溜まりに溜まった思いが、一気に涙として流れてくる。
天谷の胸の中で泣いた。
弱々しく握ったわたしの手を、天谷はずっと強く握っていた。
気がつくと、いつの間にかまた場所が変わっていた。
沢山の人間の声が周りから聞こえてくる。
そこにいた数え切れないほどの人間は声を揃えてこう叫んでいた。
「神の子」と。
その時、あのマトリョーシカが私達の目の前に現れた。
マ「だるま…まねきねこ…コケシ…シロクマ…マトリョーシカ…次にくるものは…」
マトリョーシカの背後から、眩い光りが私達を包みこむ。
それは…
マ「「神」です!!」
光りの中から現れた、神と呼ばれる男。
この男によって世界は動いていた。
拳を強く握りしめる。
これが神さまの言うとおりなら、
わたしはその神に、
抗ってやる。
目の前の神に、そう強く誓った。
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百鬼夜行破壊 - マジで最高!書いてくださりありがとうございます! (2020年6月6日 5時) (レス) id: 05b29fdc85 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すっごく面白かったです!!続編っていうか、、神さまの言うとおり弐も見たいです…!! (2019年3月30日 22時) (レス) id: 8acbcb59d3 (このIDを非表示/違反報告)
三葉 - ラミさん» ありがとうございます!自分でもまた書きたいのですが…泣(本編がでないから短編とかやってみたいなぁなんても思ったりして…f^_^;)) (2015年7月24日 22時) (レス) id: 7d9f1dee17 (このIDを非表示/違反報告)
ラミ - 天谷くんかっこいい!!!すごくおもしろかったです!次回作楽しみにしています。 (2015年7月22日 23時) (レス) id: 2884d33193 (このIDを非表示/違反報告)
姫香(プロフ) - あら〜^ (2015年7月2日 19時) (携帯から) (レス) id: e11717b2be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三葉 | 作成日時:2014年12月19日 22時