同人作家と画家の話【第五人格】【エドガー・ワルデン】 (ページ23)

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温室の蚕、無知故の依存性ページ23

「⋯朝、か。」

時計針の指す所を辿ると6時。
カーテンの隙間から覗く一縷の稲光に晒され、私は目が覚めた。

カーテンを広げ、光を受けいれる。

「懐かしい夢を見たなあ、薬が無いからか
いやはや、あの状況ってやっぱ客観視してみると狂っているよね、」

布団を枕の位置とは真逆の、足の方向へ畳んだ。質の良い羽毛布団なので、ぷっくりと膨らんでいる。

シーツの皺を平手で伸ばす、布団の下にも手を滑り込ませ、平らにしてやると、布団を持ち上げた、そのまま空中に飛ばすと、重みで跳ね返ってきた布団が、上手い具合にシーツの上に乗っかった。

「(昨日より気持ちが楽だ。小説家さんと少しオタクトーク(作品についての語り合い)をしたからだろうか)」

そうだとしたら、自分と小説家さんを巡り合わせてくれたウッズさんには感謝しかない、彼女の育てる花々がある中庭の風景画を描いて渡してみようか、画力はまあまあな人間の絵でも、彼女なら喜んでくれそうだ。

「絵⋯かあ」

気持ちが楽になっても、私から悩みは取り除かれない。エドガーさんにどうやって謝罪をしたらいいのやら、絵を書いて渡す訳にも行かない、彼は私の絵が地雷らしいから。

それ以外には何も出来ないのに、お菓子作りは灰に帰してしまうし、お詫びの品を選ぶセンスも無い。

うんうん悩んでいると、ふと、窓の外の薔薇が目に付いた。