薬 ページ21
家路を辿る途中、゛薬゛を飲んでいなかった事もあり、ぶっ倒れた私は現在、目が覚め、医療室にてエミリーさんと、エミリーさんの看病の手伝いをしていたらしいエダさん質問攻めされた後、突然無言になられて、顔を擬視されていた。
「あの、どうしました？」聞いても無言でお互い、アイコンタクトを送るのみなので何の情報も仕入れられない。
寝てしまおうかとも考えたが、こんなに、穴が空くほど見られてしまっては寝れる訳がなかった。そんなに精神は図太くないのである。
「ねえ、クルマさん」
「なんです？」と聞き返す。
「何か、精神系の薬は飲んでいなかった？」
図星をつかれて、瞳孔が震える。
なんで、その事を知っているのか、
私が目覚めた時にやられた行為を倍返しにして、聞いてやりたかった所だが、答えなんてとうに2人の顔に出ていたのだから、辞めた。
最初は「思えば、倒れてから゛2日゛も寝れるのはおかしい。」と考えたのだろう。それで、起きた時にあの質問攻めだ。溜め込んでいた疑問を幾多と投げ掛け、私がそれに一つ一つ答えて、結論が出たのだろう。
「随分危険な、精神系の薬の副作用」だと。
「⋯正解です。私は精神系の病気を患っているんですよ。」
懐から、装包シートの残骸を取り出す。それを見て、2人はギョッとした。
「何だか硬いこれは何なの？と聞きたいけど、」
エミリーさんがエダさんに視線を送る。それを受け取ったエダさんは応えるようにこくりと頷いた。そして、私の目を見る。
「コンファート、精神系の病気を患った人に処方される薬。ただ、飲む数を間違えたらとんでもない劇薬になる薬。しかも、副作用で眠くなるから、これを出されるのはごく一部⋯
貴女、一体なんの病気を？
精神病ならこの荘園では珍しくないから、話してくれたら配慮が必要ならある程度配慮してくれる筈よ？」
真っ直ぐな眼差しを受けて、それでも私は言う
「それでも、今は、話せないです。ごめんなさい。」
言うと、また互いに目を合わせてアイコンタクトをとる。これは何なのなろうか。二人の仲で流行っているのだろうか。
「そう、質問攻めして、こんな深入った話を聞いて、ごめんなさいね。もう行って大丈夫よ。お大事に、」
引き戸を引いた。
「大丈夫ですよ」それを捨て台詞に、
「エダさん、あの薬について詳しく教えてくれないかしら、」
「私も詳しくは知らないけど、確か、゛エドガー゛と言う花が原料に使われていた筈⋯あとは、」
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作者名：楢葉 しのぶ | 作成日時：2022年9月7日 3時
