月下のエドガー2 ページ19
彼は他国から姫を連れ出すように指示されていた手の汚い泥棒。
しかし、彼は姫を見て一目惚れしてしまい。こんな人を自国に売る訳には行かないと、監視の目を逃れながら彼女を連れ回していたのです。
しかし、そんな事は知らないお姫様、裏切られた、と初めて涙を流します。
姫は森の奥へ走り、走り、走ります。すると、悪い魔女が現れて「分かっただろう？感情を封じた理由が、」と姫に言います。
「お母さん」お姫様は言います。そう、悪い魔女は、彼女のお母さんだったのです。
「泣かないで愛しい我が子、でも、これでわかってくれたろう？感情なんて持っても苦しいだけだと」
お姫様はうんうん頷きます。「宜しい」と魔女が言います。「さて、良い子には願いを叶えてやらねば、何を、叶えてもらいたい？」
「私を美しい薔薇にして、」彼を忘れるために彼が嫌いだと言った薔薇になりたい、お姫様が願うと、魔女は呆れたように息をつき、片手に持った杖を一振、たちまち彼女は美しい薔薇になりました。
「じゃあね、我が子」魔女は去ります。
一方、泥棒は森の方へ居なくなった姫を探しますが、見つけられません。ふと、地面を見ると、美しい薔薇が咲いていました。
彼は、なんて美しいのだと薔薇を魅入ります。彼は薔薇が親の仇のように嫌いでしたが、この薔薇だけは、違う気がしたのです。そういえば、姫は薔薇が好きだと言っていた。そう思い出すと、彼はぷつんと薔薇を積んでしまいます。
そして、後ろから追ってきた兵士達に追い詰められて、泥棒は捕まってしまいます。兵士達は泥棒が持っていた薔薇を燃やしてしまい。その場を立ち去りました。
その日から、血色の混じった薔薇が、森のどこかで咲くようになったそうな。
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作者名：楢葉 しのぶ | 作成日時：2022年9月7日 3時
