月下のエドガー ページ18
昔、ある森の奥には一国のお姫様が住んでいました。
悪い魔女に解除の方法が分からない呪いをかけられて、お姫様は感情を知らない人として成長してしまいました。どんな衝撃的な子でも驚かず、両親が居ないことに悲しみを抱かない、みんなが不気味がって、彼女を森に閉じ込めてしまったのです。その時も、姫は何も言わず、泣きませんでした。
そんなある日、木の実を粉にして作ったパイを味わいながら、お姫様が窓を見ると、腹部から血を流した青年が倒れていました。
お姫様はそんな衝撃的な状況でも面食らった表情をしません。ただ、「助けなくては」の想いだけで外に出ました。
しかし、お姫様は青年を抱き上げるほどの腕力はありません。仕方なく引きずって、床に寝かせてお腹に水を含ませたタオルを巻いてやり、ホットコーヒーを淹れて目覚めを待ちました。
「ここは⋯？」
青年が目覚めました。
なんでこんな所で倒れていたのか、お姫様が問い詰めると「ちょっとした用事があったから」と答えます。
「助けてくれたお礼に、色んなことを教えてあげるよ。」
木の実パイしかレシピを知らない彼女にパンの作り方やスープの作り方を彼は伝授しました。
久しく食べるスープとパンに懐かしみを感じつつ、姫は「おいしい」と答えます。
「知らない世界を見せてあげる。」
男は姫を森から連れ出して、街へ降りていきました。女心を見知っているように、男はジュエリーショッブや家具屋さんに連れていき、彼女から発せられる事が無かった「楽しい」の言葉が連発します。
「それなら良かった。」と、「今度は城を見に行こう、この街で1番美しいんだよ」と姫を連れていこうとします。
姫はその手を振り払います。城に近づいたらまたあの森に戻されてしまうかもしれない、自分へ手を差し伸べてくれたこの人は不敬罪で捕まってしまうかもしれない。何より、自分を裏切った人達の姿なんて一目も見たくない。
彼女は分からなかったでしょうが、彼に連れ出されて、このように感情が芽生えつつありました。
だから、兵士に見つかり、青年が捕らえられ、自分は森に戻された時、静かに彼女は泣きました。
けど、姫は挫けません。「連れ出してくれた時のように、今度は私が連れ出すのだ」と彼がいなければ出口の分からない森を抜け、彼がいなければ何処へ進んだら良いのか分からない街へ出て、曲折を経て城へ忍び込み、彼を救出します
しかし、彼の口から飛び出ます
「ごめんね」と
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楢葉 しのぶ | 作成日時：2022年9月7日 3時
