同人作家と画家の話【第五人格】【エドガー・ワルデン】 (ページ17)

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相槌ページ17

「いや、凄く分かります。私も同じなんです。」

言うと「おお、まさかこんな所に共感者がいるなんて！」と喜んだ調子で言った。

よっこいしょと大量の束を地に置くと、小説家は腰を上げた

「そう言えば、タイヤくんは同人作家とやらだつたね。自費でオリジナルの雑誌を売る職業だと聞いたよ。熱烈な雑誌の読者がいるのかい？」

「雑誌と言っても、漫画⋯小説を絵に変えた物を本にして。本当、内容もそこまで面白くないんですけど、それでも面白いって言ってくれる方がいてくれて。」

小説家さんが頷いて相槌を打つ、

「絵と文字で、ジャンルは違えど、私達は似ているようだ、君とは分かり合える気がするよ。」
「ありがとうございま⋯ん？」

部屋の彼方、

麗しいルビー色を、深い青が塗り潰していた、そこには金箔が、星々のように散らされていて、一輪の奇麗な花が金箔の夜空を見上げている。

そんな装丁がなされた本を見つけた。

他の本と同じく埃を被っていて、他の本と同じく、それは転がっているのに、それを認めた途端、私はその本に魅入られ、吸い寄せられていた。

セイレーンの歌声に魅入られ、海に引き摺り込まれるように。

手に取って題名を見ると、(月下のエドガー)とあった。

「ああ、それ、私のお気に入りなんだ。良ければ読んでみてくれ」

そう言われた頃には、手は既に見返しを開いていた。