なぱなぱ以前以後は間違い(ymin)

☆ ページ5

ym side

慧がぷんぷん怒ってる。

俺が「ダンスはしない」なんてカメラの前で言ったから。
慧は、「一緒で嬉しい」って言ってくれたのに。
一緒に帰って来ても慧のご機嫌は戻らない。

だって、どれだけ愛してたって、仕事は仕事だし。
俺と慧が、ガシガシ踊るのは無理がある訳で。
グループでのダンスなら良い事も、ふたりだと妥協できない事が出て来ちゃう自分の性格を判ってるから「ダンスはしない」って言った。

でも、違う言い方があったし、カメラの前でわざわざ言う事なかったし、でれでれしないように表情を引き締めたら、楽しくなさそうな感じになっちゃったし。

俺が悪い。

いつもは俺がご飯を作ってたら、手伝ってくれたりぴったりそばにいたりダイニングの椅子に座って、話をするのに、今日は自分の部屋にこもってしまった。

とりあえず、慧がクールダウンしてくれる事を祈って、ご飯を作りはじめる。

慧が好きな煮魚にしてあげようと冷蔵庫を開ける。
冷凍庫から、下準備が終わってる魚をとりだす。




そろそろ、ご飯が炊き上がる頃に慧の部屋のドアをノックする。

山「そろそろ、ご飯できるよ」
伊「食べない！もう、寝る！」
山「慧、顔見て話そう。俺が悪かったから」
伊「今日はもう寝る！嫌い！嫌いなの！」

怒ってんなぁ。
心の中で、深くため息をついて、ドアをノックしてドアを開けようとしたけど内鍵がかかってた。

山「慧、ごめん」
伊「・・・」
山「慧のダンスがどうこうじゃなくてさ」
伊「・・・」
山「けーい？」
伊「・・下手でごめんね。俺以外と組めばダンスできたのにね。俺と一緒でごめんね」

そんな悲しい声で言わないでよ。
自分のうまく言葉にできなかった口が憎たらしい！

伊「今日はひとりで寝る」
山「・・・分かった。ごめんね。ご飯、テーブルに置いておくからね。ごめんね」

なんであんな事、言ったんだろ。
慧だったら“もう！”って言って笑って許してくれる気でいた楽観的な自分が憎たらしい。

慧を傷付けた。

ソファーに座ってスマホを見れば、知念からメッセージが入ってた。

『泣きそうな顔してたよ。いのちゃん』
『涼介がインタビュー受けてるの見てて、
“俺と一緒なの嫌そうな顔だね”って言ってたよ』
『世の中に浸透してる“いのやま”の関係性がそんなに大事？』
『いのちゃんがかわいそう』
『ばーか』
『涼介にいのちゃんはもったいない』
『いのちゃんにフラれちゃえ』

ばかだよね俺。
全部が間違えてた。

☆→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す