なぱなぱ以前以後は間違い(ymin)

☆ ページ25

ym side

ついさっきフラれた相手と一緒の車内。

つらすぎる・・・
24時間頑張った俺に神様は、ご褒美をくれないらしい。

車内は無言。
マネージャーは俺達が疲れてると思って話しかけて来ないし、音楽やラジオも流さないから、静かな車内。

ぼーっと窓の外を見ながら、早く時間が過ぎる事だけを考えてたら、伊野尾ちゃんのマンションについたみたいで、車止めに止まって、マネージャーがこっちをちらっと見た。

「じゃあ」

って言ってマネージャーが車から降りて行った。
なっ何？って、内心思ってたら、伊野尾ちゃんが口を開いた。

伊「俺がお願いした。山田と話があるからって」
山「・・・」

話しなんかしたくない。
どう考えたって、フッた俺へのフォロー。
そんなの聞きたくない。

山「いーよ。もう」
伊「山田、うしろ向かないって約束して」
山「・・・」
伊「お願い」

切羽つまったような声の伊野尾ちゃんに、しょうがなく頭を縦に動かした。

伊「俺、山田が好き」
山「へっ」
伊「山田と恋人になりたいっていう好き」
山「いやいや(笑)あんた、断ったじゃん。俺の告白」

何、言ってんのこいつ。

俺の告白を断ったのに、「好き」「恋人になりたい好き」って、どんな冗談だよ。
ちょっとムカついて来るんだけど。

ってか、両想いなのがびっくりなんだけど。
そんな素振りまったくなかったじゃん。

伊「好きだから付き合えない」
山「何それ(笑)」
伊「ごめん。ごめんな山田」

謝る声が震えてる。
いつものテキトーな感じじゃなくて、真摯な事だってのが、ちゃんと伝わって来る。

ちゃんと俺の事、好きなのが伝わって来る。

なんで。

じゃあなんで。

男同士だから？
アイドルだから？
メンバーだから？

なんで？

なんで？

山「俺達、両想いって事？」
伊「んっ」
山「でも、付き合えないの？」
伊「んっ」
山「なんで？」

約束したけど、我慢できなくてうしろを振り返れば、真っ赤な顔して、ぽろぽろ涙を流してる伊野尾ちゃんがいた。
涙と一緒に鼻水まで、ずるずる出てて、あんまりにも可愛くて笑ってしまう。

伊「見たな」
山「ごめん」

伊野尾ちゃんが笑いながら、にらんできた。

そりゃそうだ。
俺も泣きながら、鼻水ずるずる出てるんだから。

かっこ悪いのはお互いさま。

山「俺、伊野尾ちゃんが好き」
伊「俺も、山田が好きだよ」
山「なんで！なんで付き合えないの？」

言ってよ。
お願いだから。

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