はじめまして ページ5
side yuu
「お名前覚えててくれてありがとう 嬉しいなぁ」
そっと手を伸ばすと大人しく此方に向うAちゃん。
でもお兄ちゃんの海くんと離れるのはすごく不安そうで
和も一緒に来てくれたけど下手したら泣いちゃいそう。
こんな知らない大きな男の人たちの知らないお家なんか怖いだろうな。
「大丈夫 お兄ちゃん大事なお話あるから少しこっちにおいで お兄ちゃん見えるとこで遊ぼっか？」
お兄ちゃん見える所で。
っていう言葉に反応して海くんの方を見てから頷くAちゃん。
少し前に海くんが母に呼ばれた時に嫌だからってついて行った時に会ったのがAちゃん。
海くんに向かって走ってきた時に転んでしまって手を差し出したらキラキラした目で「おうじさま」って言われちゃったんだよね。すごく可愛い。
そんな可愛い子に何があったのか…僕、ちょっとだけ予想がついてしまって
海くんの家庭がどんな状況なのかAちゃんに会った時に知って、パッと見ではとても幸せな家庭だしお母さんが特別悪い訳でもないんだけど
とにかく今は不安がってるこの子を安心させなくちゃ。
「Aちゃん、和くんの事見たことないかな……和くんはダンスが上手なんだよ」
自己紹介をしても返事が返ってこず距離をとって見守ってくれてた和くんを紹介する。
「お歌も好きやで Aちゃんはお歌好き？」
「……すき」
お。ちゃんと答えてくれた。
このままゆっくり話せば大丈夫かな…今はおうちの事ちょっとだけ忘れて欲しいな。
「そっかぁ！じゃぁお揃いやねぇ ゆーちゃんはな、お花の事たくさん知ってんねんで 好きな色のお花ある？」
小さな返事からAちゃんが反応しやすくて返しやすい質問をする和くん。
会話途切れないのすごいなぁ……
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作者名：なの | 作成日時：2020年10月15日 19時
