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冬
冷え切った窓枠に腕を預ける。
シンと冷たい空気が気道を通って肺を謳歌する。
オリオン座は、と空を探してしまった。
外では微かに鈴の音やら話し声やら聞こえる。チカチカ点滅する都会のそれは何時もより俄然やる気を出しているようで。
なぁにがクリスマスだ、イルミネーションやらサンタさんやらで騒ぎやがってと毒付いた。
それにしてもさみぃな。ちょっと前まで暑い秋だったというのに体の芯に入り込んでくる寒さだ。あぁ嫌だ嫌だ、と上着の袖を伸ばす。効果は殆どなかったがそれでも気休め程度にはなるだろう。
不意に内ポケットが震えた。
取り出しても尚うるさく騒ぐスマートフォンには一件の着信が表示されている。
珍しい、ゾムさんからだった。
《元気しとる？》
それだけ。随分と素気ない字面だが、その奥から(私の勘違いでなければ)少しの優しさが香った。
全く面倒見のいい人だ。彼にそんな風な感想を抱いたことは今が初めてだが、態々大事なクリスマスなんて日に連絡の途絶え気味な仲間へ一報送るなんてのは立派な事だ。あの人、別に暇なわけじゃ無いだろうに。
既読無視も感じが悪いかと思い、すぐに返事を打ち込む。寒さで悴んだ指に冷えた液晶は酷だった。
《元気ですよ。今日、寒いですね》
既読はすぐについた。しばらく待っていると相手のアイコンからまたフキダシが出てくる。その中の文字を目で追った。
《飲まへん？》
これまた簡潔。飲みのお誘いだった。きっと他の人たちも来るんだろう。チーノくん、シャオロンさん、大先生……皆、元気してるだろうか。
どうしようか迷った。今日は静かに過ごそうかと思ったが、昔のように皆で曼荼羅を唱えるのも悪くない。というか、独り身が自室で一人クリスマスを呪うなんてのは寂しすぎる。
返事を打つ前に、二本指で挟んだ煙草をそっと口元へ持っていった。昔から治らない喫煙癖は今も未だ健在。ヘビースモーカーの多い私達だから、きっと平均寿命は長く無いんでしょうね、と嫌なことを考えてしまった。長生きが一番、そう思っていても。
ぷは、と煙を吐き出す。少し苦味のある味。昔は格好つけてタールの重いやつ吸ってむせ返ったりもしたなぁ、とおっさんじみた懐古も添えた。
紫煙がのっぺりした夜空へ高く高く登っていくのに対して、私のため息は白く凍ったきり下へ下へ落ちて消えて行くだけだった。どうせなるなら前者。
貴方の元へ、紫煙になって舞っていけたなら。
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774号（現在稼働中）(プロフ) - 葵さん» 閲覧、コメントありがとうございます！リクエスト承知致しました。只今こちらの作品の続編のページで書いているお話が終わりましたら直ちに取り掛かります！ (2023年3月20日 22時) (
レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - コメント失礼します。リクエストでemさんの彼シャツお願いします。 (2023年3月20日 17時) (レス) @page4 id: a54831e378 (このIDを非表示/違反報告)
774号（現在稼働中）(プロフ) - 閻魔さん» お、お前……(歓喜)読んでほしいところ全部言ってくれてるよそれ……！！ありがとう！！！そーなのよ！！ (2022年11月13日 12時) (レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
閻魔(プロフ) - 洗脳されてる時のほんわかカップルと、それが切れたときの支配被支配の関係は紛れもない「明暗」だし、催眠術で惚れさせるって言うのはhtにとって「名案」だったんだろうな....てか勝手に妄想してごめん (2022年11月12日 16時) (レス) @page49 id: 6790531008 (このIDを非表示/違反報告)
閻魔(プロフ) - まって...タイトル回収胸熱すぎるし、htのこと絶対好きじゃん夢主...!!htは夢主のこと夢から醒めさせないし、自分も夢から醒めないんだな (2022年11月12日 16時) (レス) id: 6790531008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：774号（現在稼働中） | 作者ホームページ：No.
作成日時：2022年8月4日 19時
