ゴリラ、ゴリ押す。【松野千冬】

. ページ14

.







｢正直今でもこいつゴリラすぎんだろって思う。｣

｢でも、それでもオレよりAは力ねぇし、不良に絡まれたら多分普通にボコボコにされるし、｣

｢男と女じゃ何もかも違うんだよ｣

｢心だって、この重みだって、｣

｢それでもオレは、オレは＿＿＿＿＿＿＿｣



『千冬……？』



泣きそうな声の千冬に、流石に心配になる。

声を掛けようとすると。




｢どうしてくれんだよ、A……｣




そう言って、私をぎゅっと抱きしめた。


……千冬、私の事が好きなのだろうか。

でも私はそういうの、よく分かんないって言ったから、気にしているのだろうか。


男女の友情なんて、やっぱり成立しなくて。




｢オレだけなのが、苦しいよ…………｣

嗚咽が聞こえて、肩が濡れた気がして、心が痛かった。



.




男性は女性よりも恋をしやすい生き物なんですよ。


ふと、保健の先生が言ってたことを思い出す。

千冬は……離れるタイミングを失ったのか、まだ私を抱きしめたままだ。だいたい五分が経ってる。



『ねえ、千冬』

｢なに｣

『千冬、私の事好きなの？』

｢…………悪いかよ｣

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す