《BTS》新人発掘課の私、無名練習生を持つ。 (ページ41)

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『はぁ…っ、はぁ、』

こんなに走ったのは2年ぶりくらいだろうか。

履き慣れたパンプスでも走るとなるとやっぱり動き辛い。
スニーカーで動き回ってた2年前を思い出せば、体力的な面でも圧倒的に老いを感じるな…

『…っ！…ジョングク…さん…っ！』

廊下の突き当り、一番奥にある長椅子に座り、ガラス張りの窓にもたれ掛かったジョングクはあのくりっとした大きな目を閉じていた。

『大丈夫ですか、っ？！…はぁっ、はぁ』

程無くして息を切らす私と驚く彼の目が合い、
思っていたよりも早い目覚めに、眠ったら中々起きない彼にすれば珍しいと思った。
最近眠りが浅いのだろうか、と考える。

JK「あぁっ、Aさん、ご迷惑をおかけして本当にすみません。

レッスン始まってますか…？！」

こんなボロボロな身体になっても尚、勢い良く長椅子から立ち上がって練習室に向かって歩き始めようとする彼。

私は彼の手首を思わず掴んで制した。

『ジョングクさん。』

私よりずっと多くの練習生を担当してきた先輩は、私よりももっと沢山の挫折者を見てきた。

その中には夢を諦めた者もいれば、夢を諦めざるを得なかった者もいる。

努力しすぎた故に身体を壊してしまっては元も子もない。
それは本人も分かっているだろう。

だけど、だけど、
大人が支えなければいつかは崩れる。

それはその子がどんなに確立していようが、である。

『努力出来る事は素晴らしい。
誰もが夢に向かって努力をし続けられる訳ではありません。

だけれどこの先は、自分の事を知る努力もしなければいけない。

辛いけれど、…限界を認める力も必要です。

自分自身を理解して、引くべき時は引くという経験を積んで下さい。
貴方が貴方自身の事をしっかり知っていれば、私ももっと貴方の力になれるかもしれない。』

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